デイサービスと特養って何が違うのか。この疑問は、利用者家族から見ても気になるテーマですが、これから介護職で働こうとしている人にとっては特に大きいと思います。
同じ介護職でも、デイサービスと特養では役割も仕事内容も働き方もかなり違います。現場で働く職員の負担や向いている人のタイプまで変わってくるので、何となく同じ介護の仕事として見てしまうと、、働き始めてから「思っていた仕事と違う」と感じることもあるでしょう。
デイサービスの働き方が合う人もいれば、特養の方が向いている人もいます。ここでは、デイサービスと特養の違いを、仕組み・仕事内容・負担・給料・関係性まで、現場経験をもとに見ていきます。
デイサービスと特養は「通い」か「入所」かで違う
まず一番大きい違いは、デイサービスが通いのサービスで、特養が入所のサービスだという点です。この違いが、利用者にとっての役割だけでなく、職員の働き方にもそのままつながっています。
デイサービスは自宅での生活を続けるための支援
デイサービスは、自宅で生活している高齢者が事業所に通って利用するサービスです。役割としては、利用者が住み慣れた家でできるだけ長く暮らしていけるように支えることにあります。
そのため、ただ介護をするだけではありません。自宅に閉じこもらず社会とのつながりを持つこと、体操やレクリエーションで身体機能や認知機能を維持すること、そうした部分が大きな意味を持ちます。
家族が24時間365日介護で疲れ切らないように、一時的に介護から離れる時間をつくるレスパイトの役割もあります。デイサービスは本人のためのサービスであると同時に、家族を支えるサービスでもあります。
特養は生活の場として最期まで支える施設
一方で特養は、入所して生活する施設です。自宅での生活が難しくなってきた高齢者が、生活の場を施設に移して暮らしていく場所になります。よく終の棲家と言われますが、まさに生活そのものを支える前提のサービスです。
家族にとっても、介護負担が重くなってきた時に、介護から卒業するための場所という意味合いがあります。原則として要介護3以上の方が対象となるため、デイサービスよりも介護度は高くなりやすく、職員が担う役割も生活全体に及びます。ここが、通いのデイサービスと大きく違うところです。
デイサービスの一日の流れと日勤中心の仕事内容
デイサービスは比較的明るく、楽しそうなイメージを持たれやすいですが、実際の現場はそれだけではありません。身体介助もありますし、時間に追われる場面もあります。ただ、特養とは違い、仕事の中心にあるのは「一日を楽しく過ごしてもらうこと」です。
送迎から始まり送迎で終わる一日の流れ
デイサービスの一日は、朝の送迎から始まります。多くの施設では介護職員が送迎車を運転し、利用者の自宅まで迎えに行きます。到着後はバイタルチェックを行い、その日の状態を見ながらサービスが始まります。
午後の活動が終われば、また送迎に出て自宅へ送り届けます。つまり、デイサービスは一日の始まりも終わりも送迎です。特養にはない業務であり、運転の責任や時間管理の緊張感もあります。介護の仕事というより、そこに接客や訪問的な要素も混ざってくるのがデイサービスの特徴です。
デイサービスにも身体介助の負担はある
デイサービスは、一般的に平均介護度が2程度であることが多く、特養のように一日中身体介助が続く仕事ではありません。ただ、身体介助がないわけではなく、入浴介助や食事介助、排泄介助などが必要になる場面はあります。
特に午前中は、入浴サービスが中心になることが多いです。デイサービスの中で身体的に負担がかかりやすいのは、この入浴介助だと思います。時間内に複数の利用者を入浴してもらう必要があり、身体介助が必要な利用者が重なると、かなり忙しくなります。
レクリエーションとコミュニケーションが仕事の中心
デイサービスでは、午後にレクリエーションの時間がしっかり取られることが多いです。体操、風船バレーのような体を動かすもの、クイズのように頭を使うもの、制作活動のように手先を使うものなど、介護職員が企画して進めていきます。
ここで大事なのは、デイサービスでは「介護してもらえて助かる」だけでは足りないということです。利用者にとって、またこの事業所に行きたいと思えるかどうかは、レクリエーションが楽しかったか、職員と一緒にいて楽しかったかが大きく影響します。コミュニケーションや場の雰囲気づくりの力がかなり重要になります。
特養の一日の流れと24時間続く仕事内容
特養もレクリエーションやコミュニケーションがないわけではありません。ただ、仕事の重心は明らかに身体介助の方にあります。生活そのものを支える以上、介護の量も密度もデイサービスとはまったく違ってきます。
早番・日勤・遅番・夜勤で回す24時間の介護
特養は24時間365日の施設です。朝食から始まり、食事介助、口腔ケア、服薬のサポート、日中の見守り、入浴、夕食、就寝介助、夜間のトイレ介助やおむつ交換まで、利用者の生活は切れ目なく続きます。
職員はそれを早番・日勤・遅番・夜勤のシフトで支えます。デイサービスのように朝から夕方で仕事が終わるわけではなく、夜勤も含めて生活リズムごと仕事に合わせる必要があります。介護職としての覚悟が求められるのは、この24時間体制の重さが大きいです。
三大介助が中心となる日常業務
特養では、利用者の平均介護度が4程度と高めであることが多く、食事介助、入浴介助、排泄介助の三大介助が仕事の中心になります。デイサービスよりも身体介助にかける時間が圧倒的に長く、一日を通して介助の割合が大きいです。
従来型の特養では、数十人規模のフロアを職員で見ていくこともあり、レクリエーションの時間があっても短めに区切られていることが多いです。その分、身体介助の場数は踏めますし、一般的に言われる介護技術はかなり身につきやすいです。特養を経験した人が転職で即戦力として見られやすいのは、この積み重ねが大きいと思います。
看取りや認知症対応など精神的負担も大きい
特養の大変さは身体的な負担だけではありません。入所施設なので、利用者の最期まで関わることがあります。看取りの場面を経験することもあり、これは精神的にかなり重いです。
介護度が高いということは、認知症が進んでいる方も少なくありません。中には怒鳴る方や暴力が出る方もいます。そうした利用者と毎日関わり続けるのは、体力だけでなく精神面でも負担になります。介護技術が身につく反面、それだけ厳しい現場でもあるということです。
働き方・生活リズム・給料の違いはここまで変わる
仕事内容だけでなく、働き方や給料もかなり違います。どちらが良い悪いではなく、生活の中で何を重視するかによって向き不向きが変わってきます。
デイサービスは日勤中心で生活リズムが安定
デイサービスは基本的に日勤のみで、日曜日が定休日の施設も多いです。そのため、生活リズムが整いやすく、家族や友人と予定を合わせやすいという大きなメリットがあります。家庭を持っている人には、介護職の中でもかなり働きやすい部類だと思います。
長く介護業界で働いていくことを考えた時に、夜勤がないことは健康面でもかなり大きいです。規則正しい生活を送りたい人にとって、デイサービスは強い魅力があります。
特養は夜勤ありで不規則だが収入は高め
特養は夜勤がほぼ必須になります。生活は不規則になりやすく、体調管理をしっかりしないときついです。若い時は夜勤明けでも動けても、年齢を重ねると夜勤明けに思い切り寝てしまい、そのまま数日だるさが残ることもあります。そういう意味では、健康面での負担はやはり大きいです。
その分収入は高くなる傾向があります。夜勤手当があるので月収でも数万円違うことがありますし、年収で見れば数十万円変わることも珍しくありません。介護職は給料が安いと言われがちですが、特養では他業種と比べても大きく見劣りしない水準までいくこともあります。
法人規模の違いによる待遇の差
待遇の差には、夜勤手当だけでなく法人規模の違いもあります。特養は社会福祉法人など比較的大きな法人が運営していることが多く、給料だけでなく賞与や退職金も含めて安定しやすいです。
一方でデイサービスは、営利法人が多く、特に小規模な地域密着型通所介護では法人自体が小さいことも珍しくありません。退職金がないところもありますし、金銭面では全体的に少なめになりやすいです。デイサービスの働きやすさは魅力ですが、その反面、収入面では特養に劣りやすいのが現実です。
利用者との関係性の違いが仕事のやりがいを変える
同じ介護職でも、利用者との距離感はかなり違います。この違いは、仕事のやりがいにも、その重さにもつながります。
デイサービスは「楽しい時間を共有する関係」
デイサービスの利用者は、自宅で生活しながら週に何回か通ってきます。毎日顔を合わせるとは限らず、介護職員は生活全体を支える存在というより、社会とのつながりの一つという立場になりやすいです。
そのため、利用者にとっては「遊びに来る」「楽しい時間を過ごす」という感覚も強くなります。家族の介護が休まる時間をデイサービス職員が支える、そういう関係です。コミュニケーション能力や、相手を楽しませる力がつきやすいのは、この関わり方があるからだと思います。
特養は「家族に近い関係」になる現場
特養では、利用者は施設で生活しています。毎日の生活の中心にいるのは職員です。だから、職員が思っている以上に、利用者にとって職員の存在は家族に近くなります。
実際に、実の親子関係のような間柄になることもあります。日々の介護だけでなく、感情の面でも深く関わるので、利用者との距離は自然と近くなっていきます。これはデイサービスにもありますが、特養ではこの関係性は特に深くなりやすいです。
深い関係だからこそ生まれるやりがいと重さ
その深さは、大きなやりがいにもなります。利用者の人生と本気で向き合うこと、看取りまで含めて関われることは、人として深い経験になります。
ただ、その分だけ別れも重いです。長く関わった利用者を看取ることは、簡単なことではありません。デイサービスのような明るさとは違う意味で、特養には介護職としての重みがあります。ここに価値を感じる人もいれば、しんどいと感じる人もいます。
デイサービスと特養、それぞれに向いている人の特徴
ここまで見てくると、デイサービスと特養では求められるものがかなり違うことが分かると思います。仕事内容も、生活リズムも、利用者との関わり方も違うので、向いている人のタイプも自然と分かれてきます。ここは文章で流すよりも、特徴を整理して見た方が分かりやすい部分なので、分けて見ていきます。
デイサービスに向いている人の特徴
デイサービスに向いている人には、次のような特徴があります。
- 規則正しい生活を送りたい方
- 明るい雰囲気の中で働きたい方
- 介護未経験から始めたい方
- 前職で接客経験がある方
- レクリエーションや会話が好きな方
- 利用者と長く関わりたい方
- 日曜日の休みを大事にしたい方
- 送迎に抵抗がない方
- 将来はケアマネージャーを目指したい方
デイサービスでは、利用者との会話だけでなく、ご家族とのやり取りや送迎時の対応など、介護そのもの以外の対人スキルもかなり求められます。だからこそ、接客経験がある人や、人と関わることに前向きな人は力を発揮しやすいです。
また、デイサービスは在宅生活を支える仕事なので、将来ケアマネジャーを目指す人にとっても学びが多い現場です。その一方で、レクリエーションが苦手な人、人前で場を回すことに強いストレスを感じる人、送迎の運転に不安がある人にとっては、思っている以上に負担になりやすい仕事でもあります。
特養に向いている人の特徴
特養に向いている人には、次のような特徴があります。
- 介護技術や身体介助の経験をしっかり積みたい方
- 利用者の生活や最期まで深く関わりたい方
- 少しでも収入を上げたい方
- 夜勤を含む不規則な勤務にも対応できる方
- 体力面にある程度自信がある方
- 将来的な転職でも評価されやすい経験を積みたい方
特養は、食事介助・入浴介助・排泄介助といった身体介助の割合が大きく、介護技術を身につけるには非常に実践的な現場です。三年間しっかり働いて介護福祉士を取り、その後に転職するとなった時でも、特養経験は評価されやすいと感じます。それだけ、介護職としての土台が作られやすい現場だということです。
ただし、その分だけ仕事は厳しいです。身体的な負担も大きいですし、夜勤による生活の不規則さもあります。さらに、利用者の最期まで関わることや、認知症の重い方と日々向き合うことも含めて、精神的にも軽い仕事ではありません。だからこそ、収入だけで選ぶというより、自分がその重さに向き合えるかどうかも大事になります。
デイサービスと特養は自分に合う働き方で選ぶ
デイサービスと特養には、それぞれに良さがあります。どちらが上か下かという話ではありません。
大切なのは、自分がどんな働き方をしたいのか、介護職として何を大事にして働きたいのかです。デイサービスと特養の違いを知ったうえで、自分に合う働き方を選ぶことが大切です。
働き方の違いで向いている職場は変わる
デイサービスは日勤中心の仕事で、利用者や家族との距離が近いことが特徴です。利用者と会話をしたり、レクリエーションを通して楽しい時間を作ったりしながら、自宅での生活を続けられるように支えていきます。
一方で特養は、夜勤があるため生活リズムは不規則になりやすいですが、その分、収入は高くなりやすいです。身体介助の場面も多く、介護技術をしっかり身につけやすい職場とも言えます。
生活リズムを整えて働きたいのか、利用者と楽しく過ごす時間を大切にしたいのか、収入を重視したいのか、介護技術を身につけたいのかによって、向いている職場は変わります。
どちらが良い職場ということではなく、どちらの働き方が自分に合っているかで考えることが大切です。
長く働くためには自分に合う職場を選ぶことが大切
今デイサービスで働いていて合わないと感じている人も、今特養で働いていて合わないと感じている人も、それだけで介護職そのものが合わないと考える必要はありません。
介護職が合わないのではなく、今の働き方が自分に合っていないだけかもしれません。だからこそ、デイサービスと特養の違いを知ることは大切です。
自分に合う働き方を選ぶためには、それぞれの仕事の違いを知っておく必要があります。介護職として長く働いていくためにも、自分に合う職場を選ぶことが大切です。
