デイサービスには、送迎や入浴介助、食事介助、レクリエーションなど、さまざまな仕事があります。
一つひとつの仕事内容を理解していても、実際に働き始めると「次は何をすればいいんだろう」と戸惑うことがあります。デイサービスでは複数の仕事が一日の中でつながっているため、仕事内容と一緒に全体の流れを把握しておくことも大切です。
この記事では、朝の送迎から利用者が帰った後まで、職員がどのような流れで仕事をしているのかを紹介します。一日の流れを知って、実際に働くときの動きをイメージしてみてください。


デイサービスの一日は送迎から始まる
デイサービスは在宅で生活している利用者が通うサービスです。まずは利用者を自宅まで迎えに行き、事業所へお連れするところからサービスが始まります。送迎では運転や乗降介助だけでなく、家族から必要な話を聞くことも職員の仕事です。

朝は利用者を自宅まで迎えに行く
朝の送迎では利用者の自宅を順番に回り、事業所まで安全にお連れします。ただ利用者を車に乗せるだけではなく、家族から前回の利用日以降の体調や生活の様子について話を聞くこともあります。
利用しなかった日に病院を受診していたり、薬が変更されていたりすることもあります。こうした情報はその日のサービスにも関わるため、必要な内容を確認して事業所へ持ち帰ります。
一度の送迎ですべての利用者を迎えられなければ、事業所へ利用者をお連れした後、再び次の送迎へ向かいます。利用者を迎えるところから、その日の仕事はすでに始まっています。

事業所に到着したら体調を確認する
利用者を事業所へお連れしたら、送迎中に家族から聞いた内容をほかの職員へ申し送ります。特に体調の変化や薬の変更など、その日の対応に関わる情報はしっかり共有しておく必要があります。
フロアでは水分を提供し、少し落ち着いたところで体温や血圧などのバイタルを測定します。数値だけでなく、顔色や表情、会話の様子なども見ながら、その日の体調を確認します。
家族から聞いた内容と実際の状態を確認したら、その情報を入浴や日中の活動につなげます。朝に得た情報を職員同士で共有しておくことが、その後の対応にも関わってきます。
午前中は入浴とフロア対応が同時に進む
利用者を迎えた後は、入浴やフロア対応など、それぞれの役割に分かれて仕事を進めます。午前中は複数の仕事が同時に動くため、自分の担当だけではなく周囲の状況も見ながら動くことが必要です。

入浴担当は利用者が入る前から準備を始める
入浴担当は、利用者が到着する時間に合わせて浴室の準備を進めます。浴槽にお湯をためるほか、タオルや着替え、必要な入浴用品などを確認し、利用者を迎えられる状態を整えます。
準備が整ったら、その日の体調を確認しながら利用者を順番に浴室へ案内して入浴介助を行います。入浴は身体への負担も大きいため、朝のバイタルだけでなく、その時点での様子を見ながら進めることも大切です。
入浴できる人数には限りがあるため、時間を見ながら次の利用者を案内していきます。介助だけでなく、準備から利用者の案内、次の入浴へつなげるところまで考えて動くのが入浴担当の仕事です。

フロアでは体操や見守りを行う
入浴担当が利用者の介助をしている間、フロア担当は入浴していない利用者への対応を行います。体操を行ったり、一人で楽しめるレクリエーションを用意したりしながら午前中を過ごしてもらいます。
活動だけではなく、時間を見ながらトイレへ声をかけたり、必要に応じて水分を提供したりすることもフロア担当の仕事です。利用者全体を見ながら、そのとき必要な支援を行います。
入浴を終えた利用者も順番にフロアへ戻ってきます。誰が入浴中なのか、誰が戻ってきたのかなど、利用者の動きを把握しながらフロア全体を見る必要があります。
職員は役割を分けながら午前中の仕事を進める
午前中は入浴担当とフロア担当などに役割を分け、それぞれの仕事を進めます。食事を事業所内で作っている場合には、この時間から食事の準備を担当する職員も動いています。
食事は一から調理するところもあれば、届いた食事を温めて盛り付けるところもあります。提供方法によって職員の動きは変わりますが、昼食の時間に合わせて準備を進めることは同じです。
午前中は一つの仕事を全員で行っているわけではありません。入浴、フロア対応、食事準備などを分担して進めるため、自分以外の職員が何をしているのかも把握しておくと動きやすくなります。
昼食前後は食事とその前後の対応が続く
午前中の入浴などが終わる頃には、昼食に向けた仕事も進んでいます。昼食前の口腔体操から配膳、食事介助、食後の服薬や口腔ケアまで、昼食の前後にも職員が行う仕事は続きます。

昼食前は口腔体操など食事の準備を行う
昼食前には、口や舌を動かす口腔体操を行います。唾液の分泌を促したり、咀嚼や嚥下に関わる機能を動かしたりして、利用者が食事をするときの誤嚥防止になるようしっかりと行います。
口腔体操を担当する職員が利用者の前で体操を進めている間、ほかの職員は配膳などを行います。利用者によって食事形態が違うため、刻み食や水分へのとろみなど必要な対応も確認します。
昼食中は見守りと必要な介助を行う
昼食が始まったら、自分で食べられる利用者には自分のペースで食べてもらい、介助が必要な利用者には職員が食事介助を行います。
自分で食べられる利用者についても、むせ込みがないか、姿勢が崩れていないかなどを確認します。認知症の利用者もいるため、他の人の食事に手を出さないかなど、周囲の利用者も含めて見守ることが必要です。
食後は服薬や口腔ケア、トイレ対応を進める
昼食後に薬を飲む利用者には、預かっている薬を確認して服薬できるよう対応します。その後は歯磨きやうがいなどの口腔ケア、トイレ誘導などを順番に進めます。
洗面台やトイレを一度に使える人数には限りがあるため、職員は利用者を順番に案内します。待っている利用者にはテレビを見たり会話をしたりしながら過ごしてもらい、食器拭きなどの生活リハを一緒に行うこともあります。
この時間は利用者にとって食後にゆっくり過ごせる時間でもあります。その間に職員は午後の活動に必要な物を用意するなど、レクリエーションを始めるための準備も進めておきます。
午後はレクリエーションなどの活動を行う
午前中は入浴や食事準備などに職員が分かれていましたが、午後になると利用者全体への対応に入れる職員が増えてきます。利用者も職員も集まりやすくなるため、午後はまとまった活動を行いやすい時間です。

午後はまとまった活動を行いやすい
午前中は入浴する利用者がフロアを離れ、職員もそれぞれの担当に分かれています。午後になると入浴や食事準備などが終わるため、それまで別の仕事をしていた職員もフロアの活動に加われるようになります。
職員が集まれば、全員で一つのレクリエーションを行うだけでなく、複数のグループに分かれて活動することもできます。午前中とは職員の配置も変わるため、できる活動の幅も広がります。
午後の活動はデイサービスによって違いが出やすいところです。どのような活動を行っているのかを知ると、その事業所が利用者にどのような時間を過ごしてもらいたいと考えているのかも見えてきます。
体操やレクリエーションなどを行う
午後はゲームや制作などのレクリエーションを行ったり、集団で体操をしたりします。活動内容は事業所によって違い、機能訓練を取り入れた活動などを行っているところもあります。
介護職員が中心になってレクリエーションを進める場合もあれば、機能訓練に力を入れている事業所では機能訓練指導員が中心となることもあります。その場合も介護職員は利用者のそばで必要な支援を行います。
利用者によって体調や身体状況は異なるため、活動への参加が難しい場合もあります。無理に参加を促すのではなく、その日の状態に合わせて参加できるよう支援することも介護職員の仕事です。

事業所によっては外出することもある
午後には、散歩や季節の花を見に行くなど、外出レクリエーションを行う事業所もあります。 外出するときは、利用者の体調や必要な持ち物を確認し、安全に出かけられるよう準備を整えます。
外出レクリエーションは人気があり、散歩を楽しみにしている利用者も多くいます。ただ、外出より事業所で過ごすのが好きな利用者もいるため、その場合は職員が二手に分かれ、それぞれの利用者へ対応します。
おやつから帰りの送迎に向けて準備が進む
午後の活動が終わるとおやつの時間になります。利用者がおやつを楽しんでいる間、職員は見守りや必要な介助を行いますが、同時に連絡帳の記入や帰りの準備も始めます。

おやつを楽しみながら午後を過ごす
利用者にはおやつと飲み物を提供し、必要な人には介助を行います。午後の活動を終えた後なので、利用者同士で話をしたり、職員と会話をしたりしながら過ごす時間にもなります。
ただ、おやつの時間だからといって、すべての職員がおやつの対応だけをしているわけではありません。見守りに必要な職員を残しながら、ほかの職員はレクリエーションの片付けや帰りに必要な仕事を進めます。
利用者がおやつを食べている時間には、職員はすでに帰りの送迎を見据えて動いています。ここで何を済ませておくかによって、その後の帰りの準備も変わってきます。
職員は連絡帳と帰りの準備を進める
おやつの時間になると、職員は連絡帳を書き始めることが多いです。午後のレクリエーションまで終わっているため、その日の利用者の様子や活動内容も含めて家族へ伝えることができます。
同時に、利用者の荷物が揃っているか確認し、帰りの時間に合わせてトイレへの声かけや上着の準備なども行います。利用者が多ければ、一人ずつ確認していくだけでも時間がかかります。
帰りの時間になってから準備を始めていては送迎に間に合いません。おやつの時間から必要な仕事を進めておくことで、サービス終了の時間に合わせて利用者を送り出せるようにします。
帰りの送迎で利用者を自宅まで送り届ける
サービス終了の時間になったら、利用者を送迎車へ案内してそれぞれの自宅まで送り届けます。乗車する利用者や送迎ルートを確認しながら、安全に送迎できるよう職員が対応します。
自宅へ到着したら、必要に応じて家族へその日の様子を伝えます。朝に家族から利用者の様子を聞いて一日が始まり、帰りにはデイサービスでの様子を家族へ伝えることになります。
利用者を自宅まで安全に送り届ければ、利用者にとってのデイサービスは終了です。ただし、職員には事業所へ戻ってから行う仕事も残っています。
利用者が帰った後も職員の仕事は続く
帰りの送迎が始まると、事業所に残った職員は日中にできなかった仕事を進めます。利用者がいる時間には利用者対応を優先するため、片付けや記録などをこの時間にまとめて行うこともあります。

送迎車を送り出したら片付けや清掃を行う
送迎車を送り出した後、事業所に残った職員はフロアの片付けや清掃などを始めます。日中に使った物を片付け、翌日も利用者を迎えられるよう事業所内を整えます。
利用者がいる間は、やりたい仕事があっても利用者への対応を優先しなければならないことがあります。利用者を送り出した後は、日中に後回しになった仕事を終業時間までに進めていきます。
送迎へ出ていた職員も事業所へ戻り、仕事が残っていれば一緒に進めます。利用者の送迎が終わったからといって、そこで職員の仕事も終わるわけではありません。
残っている記録や翌日の準備を進める
日中に終わらなかった介護記録などがあれば、この時間に仕上げます。その日の出来事や利用者の状態など、必要な内容を記録してから一日の仕事を終えます。
さらに、翌日に必要な物を確認したり、次の日の利用者を迎えるための準備をしたりすることもあります。その日の仕事だけでなく、翌日のサービスを始められる状態まで整えておくことも必要です。
利用者にとっては帰りの送迎が一日の終わりですが、職員にとっては片付けや記録、翌日の準備まで含めてデイサービスの一日の仕事になります。
デイサービスの一日の流れを知ると仕事の動きが見えてくる
デイサービスでは、朝の送迎から午前中の入浴、昼食、午後の活動、おやつ、帰りの送迎へと一日が進みます。ただし、実際の仕事は時間割のように一つずつ切り替わっているわけではありません。

複数の仕事が一日の中でつながっている
入浴担当が利用者を介助している時間にも、フロアでは別の職員が利用者へ対応し、食事を作る事業所では昼食の準備も進んでいます。昼食後には午後の活動を準備し、おやつの時間には帰りの準備が始まります。
一つの仕事が終わるのを待ってから次の仕事を始めていては、デイサービスの一日はうまく回りません。今行っている仕事の次に何があるのかを把握し、それぞれの職員が一歩先を考えながら動くことが必要です。
流れが分かると次の仕事を考えて動きやすくなる
デイサービスで働き始めると、最初は目の前にいる利用者への対応だけで精いっぱいになってしまうことも多いです。一つひとつの仕事内容を覚えていても、それだけでは次に何をすればよいのか分からなくなることがあります。
一日の流れを把握しておくと、今の仕事だけでなく、その次に何が必要になるのかを考えながら動けるようになります。おやつの時間であれば、その後の送迎までに連絡帳や荷物、トイレなどの準備が必要だと考えられるようになります。
一日の流れを知ることは、単にデイサービスの時間割を覚えることではありません。それぞれの仕事がどのようにつながっているのかまで理解しておけば、実際に働いたときにも仕事に追われるだけではなく、一歩先を考えて動けるようになります。
最初からすべてを完璧にこなす必要はありません。まずは一日の大きな流れを頭に入れて、「今の仕事の次には何があるのか」を意識しながら動いてみてください。それだけでも、デイサービスでの仕事は少しずつ動きやすくなっていきます。

