デイサービスは楽すぎる仕事?「楽」と言われる理由と本当の大変さ【15年の現場経験から解説】

デイサービス介護職人楽すぎる?

デイサービスは、介護の仕事の中でも「楽そう」と見られやすい仕事です。夜勤がなく、日勤中心で働けることが多く、入所施設と比べると生活リズムも整えやすいため、これから介護職として働こうとしている人の中には、「デイサービスなら楽に働けるのではないか」と考える人もいるかもしれません。

たしかに、デイサービスには働きやすい面があります。しかし、働きやすいことと、仕事そのものが楽なことは同じではありません。特にデイサービスでは、外から見るとのんびりして見える時間ほど、職員の関わり方が問われる場面があります。

何もやらなくても時間は過ぎますが、何もやらなくていい時間ではありません。この記事では、デイサービスが楽そうに見られやすい理由と、実際にはどこに大変さがあるのかを、介護職員としてデイサービスの現場で働いてきた経験から書いていきます。

目次

デイサービスが楽そうに見られる理由

デイサービスが楽そうに見られやすい理由は、仕事の中身よりも、働き方の印象にあります。介護職というと、夜勤があり、早番や遅番があり、土日祝日も関係なく働くイメージを持つ人も多いと思います。

その中でデイサービスは、日中に利用者が通ってくるサービスです。この働き方だけを見ると、入所施設より楽そうに見えるのは自然なことかもしれません。

夜勤がなく日勤中心で働きやすい

デイサービスは基本的に、利用者が朝来て、夕方に帰るサービスです。そのため、職員の勤務も日勤帯が中心になります。入所施設のように、夜勤を含めて24時間体制で生活を支える仕事とは違います。

夜に家を空ける必要がなく、毎日ある程度同じ生活リズムで働きやすい点は、デイサービスの大きなメリットです。特に、子育て中の人や家庭との両立を考える人にとって、夜勤がないことは大きいと思います。

この部分だけを見れば、「デイサービスは働きやすそう」と感じるのは間違いではありません。

生活リズムを保ちやすく、家庭との両立もしやすい

デイサービスは、事業所によって日曜が休みだったり、年末年始に休みがあったりします。もちろん、すべてのデイサービスが同じではありませんが、入所施設と比べると、家族や周囲の生活リズムに合わせやすい職場もあります。

介護職として長く働くうえで、生活リズムを保ちやすいことは大切です。夜勤が続いて体調を崩した経験がある人にとっては、日勤中心で働けるデイサービスに魅力を感じることもあるでしょう。ただし、ここで間違えてはいけないのは、生活リズムを保ちやすいことと、仕事が簡単なことは別だという点です。

身体介助が少なく、のんびりして見える時間がある

デイサービスは、入所施設と比べると身体介助が少ないように見られることがあります。実際、利用者の中には自分で歩ける人や、会話を楽しみに通っている人もいます。寝たきりの利用者が多い施設と比べれば、身体的な介助量が少なく感じる場面もあります。

また、午後の時間に利用者がテーブルで塗り絵をしていたり、職員と話していたり、ゆったり過ごしているように見えることもあります。外から見ると、その時間は「のんびりしていて楽そう」に見えるかもしれません。しかし、デイサービスの仕事は、その楽そうに見える時間にこそ大事な部分があります。

「働きやすい」と「楽な仕事」は同じではない

デイサービスは、働き方としては整っている部分があります。夜勤がなく、日勤中心で働けることが多く、生活リズムも保ちやすい。家庭との両立を考える人にとっても、働きやすさを感じやすい仕事だと思います。

ただし、それはあくまで働き方の話です。夜勤がないことや日勤中心であることは大きなメリットですが、それだけで仕事そのものが楽になるわけではありません。

夜勤がないことは、仕事が簡単という意味ではない

夜勤がないことは、デイサービスで働く大きなメリットです。入所施設のように、夜間も含めて生活を支える仕事とは違うため、体への負担や生活リズムの面では働きやすさがあります。

しかし、日中の仕事が軽いわけではありません。デイサービスでは、利用者が来ている時間内に、その日のサービスを提供する必要があります。朝来た利用者は夕方には自宅へ帰るため、限られた時間の中で、入浴、食事、体操、レクリエーション、排泄、見守り、家族への連絡事項の確認などが進んでいきます。

日勤中心だから楽なのではなく、日勤の中に仕事が詰まっているのがデイサービスです。

身体介助が少なく見えても、利用者への関わりは続く

デイサービスでは、入所施設と比べると身体介助が少なく見えることがあります。実際に、自分で歩ける利用者や、会話を楽しみに通っている利用者もいます。そのため、身体的な負担だけを見れば、楽そうに感じる人もいるかもしれません。

ただ、身体介助が少ないからといって、職員の役割が軽くなるわけではありません。自分で動けるからこそ見守りが必要な場面もありますし、会話ができるからこそ、その人に合った声かけや関わり方が必要になります。

デイサービスでは、身体を支える介助だけでなく、利用者がその日をどう過ごすかに関わる時間が多くあります。外からは楽そうに見える時間ほど、実際には職員の考え方や関わり方が出やすいのです。

楽そうに見える午後の時間こそ、デイサービスの大切な時間

デイサービスの午後の時間は、外から見るとのんびりして見えるかもしれません。昼食が終わり、少し落ち着いた時間に、体操をしたり、レクリエーションをしたり、塗り絵やパズルなどの個別活動をしたりします。

この時間を「暇な時間」「ただ見守っている時間」と思う人もいるかもしれません。でも、僕はこの時間こそ、デイサービスの大切な時間だと思っています。

午後のアクティビティ時間は、ただ見守るだけの時間ではない

午後のアクティビティ時間は、職員が何もしなくても時間だけは過ぎていきます。利用者に塗り絵を渡して、職員がただ立っているだけでも、時間は流れます。体操の時間まで待つこともできます。帰りの送迎時間まで、何となく過ごすこともできてしまいます。

しかし、それでは良いデイサービスにはなりません。デイサービスは、利用者がただ時間をつぶす場所ではないからです。通ってきた利用者に、少しでも楽しい時間を過ごしてもらう。安心して過ごしてもらう。人と関わる時間を持ってもらう。そのために、職員がどう関わるかが大切になります。

利用者に合った過ごし方を作ることが職員の仕事になる

利用者によって、楽しいと感じることは違います。塗り絵が好きな人もいます。手作業が好きな人もいます。職員と話すことを楽しみにしている人もいます。体操やゲームのように、みんなで参加する活動が好きな人もいます。

一方で、塗り絵を出してもあまり乗り気にならない人もいます。特に僕の体感では、男性利用者の中には、塗り絵よりもパズルのように頭を使う活動を好む人もいました。ただ手を動かすだけではなく、「考えている」「解いている」という感覚がある方が楽しめる人もいます。

このように、利用者に合う過ごし方を見つけることも、デイサービス職員の大切な仕事です。

何もやらなくても時間は過ぎるが、それでは良いデイサービスにはならない

デイサービスの午後の時間は、何もやらなくても過ぎていきます。でも、何もやらなくていい時間ではありません。職員が利用者に声をかける。好きそうな活動をすすめる。隣に座って話を聞く。参加しにくい人がいれば、無理のない形で関われるようにする。

そうした関わりがあるから、利用者にとって「今日も来てよかった」と感じられる時間になります。外から見れば、職員が利用者と楽しそうに過ごしているだけに見えるかもしれません。しかし、その時間の中には、職員の工夫や気配りがあります。

入所施設の経験者でも、デイサービスが合わないことがある

デイサービスの仕事が合うかどうかは、介護経験の長さや資格だけでは決まりません。入所施設でしっかり経験を積んだ人でも、デイサービスに来ると合わないことがあります。僕の働いていたデイサービスでも、実際にそういう職員がいました。

ベテラン職員が午後の時間を見て「楽な仕事」と感じた話

ある介護職員が、僕の働くデイサービスに転職してきたことがありました。その職員は、入所施設での経験があり、介護福祉士の資格も持っているベテランの介護職員でした。身体介助の経験もあり、介護技術の面では期待されていた人です。

その職員は、デイサービスの日中の様子を見て「楽な仕事だ」と言っていました。入所施設のように介護に追われているわけではなく、午後の時間もゆったりして見えたのだと思います。たしかに、見方によってはそう見えるかもしれません。

利用者と会話をしたり、体操やレクリエーションをしたり、個別の活動をしている時間は、外から見るとのんびりしているように見えます。しかし、のんびりして見える時間こそ、デイサービスでは大切な時間です。

身体介助に追われる仕事はできても、自分から関わる仕事が苦手な人もいる

その職員は、身体介助に追われるような場面では、これまでの経験を活かせたのだと思います。しかし、午後のアクティビティ時間になると、何をしていいか分からず、ただ立っているだけになってしまいました。

他の職員は、利用者と会話をしたり、個別の活動を支えたり、その人に合う関わり方を探しながら動いていました。でも、その職員は自分から利用者に関わることが苦手だったのだと思います。

介護に追われている時間は、やることがはっきりしています。移乗する、排泄介助をする、入浴を介助する、食事を支援する。目の前に必要な介助があります。一方で、デイサービスの午後の時間は、自分で考えて動く場面が増えます。

何を話すか。誰に声をかけるか。どの活動なら参加しやすいか。今は見守る方がいいのか、こちらから関わった方がいいのか。そうした判断が苦手な人にとっては、デイサービスの時間は楽ではありません。

楽そうに見えた時間が、本人にとっては苦痛になることもある

結局、その職員は1週間も経たずに辞めてしまいました。仕事が楽だったから辞めたのでしょうか。僕は違うと思っています。楽そうに見えた午後の時間が、その人にとっては苦痛だったのだと思います。

何もやることがないように見える時間は、同じ1時間でも長く感じます。自分から利用者に関わることができなければ、その時間はただ立っているだけのつらい時間になります。

僕は「身体介助の負担が少ないから楽」とは思っていません。デイサービスでは、身体介助だけではなく、利用者とどう関わるかが問われます。そこに向き不向きが出ます。

利用者に楽しんでもらう時間は、職員が考えて作っている

デイサービスが楽そうに見える理由の一つに、職員も利用者も楽しそうに過ごしていることがあります。ただ、それは職員が何も考えずに楽をしているからではありません。利用者に楽しんでもらうために、職員が考え、準備し、関わっているから、結果として楽しそうな時間に見えるのです。

休みの日に活動道具を探してくる職員もいた

僕の働いていたデイサービスには、休みの日にダイソーなどへ行き、利用者が楽しめそうな活動道具を探してくる職員がいました。日本地図を並べるパズルや、世界の国旗のパズル、ひらがなの文字をはめ込むようなパズルなどを見つけてきて、「これ、利用者さんにやってもらったらどうですか」と提案してくれることがありました。

もちろん、仕事として必要なものなら経費で対応するべきです。職員が自腹で買い続けるような形が当たり前になってはいけません。ただ、その職員は「やらされている」という感じではありませんでした。どうしたら利用者が楽しめるかを考えることが好きで、利用者が喜んでくれることを楽しみにしていました。

ここに、デイサービスの仕事の面白さと大変さがあります。

パズルのように、利用者に合う活動を見つけることも大切

活動道具は、ただ用意すればいいわけではありません。利用者に合うかどうかが大切です。試しに1つ買ってきたパズルを出してみたところ、利用者が楽しそうに取り組み、取り合いのようになることもありました。その後、追加でいくつか買うことになったこともあります。

塗り絵を楽しむ人もいますが、塗り絵にはあまり乗り気ではない人もいます。特に男性利用者の中には、塗り絵よりもパズルのように頭を使う活動の方が合う人もいました。これは統計を取った話ではなく、あくまで現場での体感です。

ただ、利用者の反応を見ていると、「この人にはこういう活動の方が合うのかもしれない」と気づくことがあります。その気づきをもとに、次の活動を考える。利用者が楽しめるものを少しずつ探していく。これも、デイサービス職員の大切な仕事です。

楽しそうに見える時間の裏には、職員の工夫がある

外出レクリエーションでも、似たようなことがあります。ある職員は、休みの日に自分で出かけた場所を見て、「ここなら利用者さんも楽しめそうです」と提案してくれたことがありました。

牧場のような場所で、アイスクリームを食べたり、外の空気を感じたりできる場所でした。実際にイベントとして行ってみると、利用者に喜んでもらえたこともあります。

こういう話を聞くと、「休みの日まで仕事のことを考えるなんて大変だ」と感じる人もいると思います。実際、大変です。人を楽しませることは簡単ではありません。

ただ、その職員は苦しんでやっていたわけではありませんでした。利用者に楽しんでもらいたいという気持ちがあり、それを自分自身も楽しんでいました。ここが、デイサービスの仕事の難しいところであり、魅力でもあります。同じ仕事でも、苦痛に感じる人もいれば、楽しみながら取り組める人もいます。

デイサービスは楽ではないが、楽しい仕事にはなり得る

デイサービスは、楽すぎる仕事ではありません。夜勤がないことや、生活リズムを保ちやすいことは、働き方としてのメリットです。しかし、それだけで仕事が楽だと決めることはできません。

特にデイサービスでは、身体介助に追われていない時間にこそ、職員の力が問われる場面があります。利用者とどう関わるか。何をすれば楽しんでもらえるか。その人に合う過ごし方は何か。それを考えることが、デイサービスの大切な仕事です。

楽だから楽しそうに見えるのではない

良いデイサービスほど、外から見ると楽しそうに見えることがあります。利用者が笑っている。職員も楽しそうに関わっている。午後の時間が穏やかに流れている。その姿だけを見ると、「楽そうな仕事だな」と思われるかもしれません。

でも実際には、職員が楽をしているから楽しそうに見えるのではありません。利用者に楽しんでもらうために、職員が考え、声をかけ、準備し、場を作っているから楽しそうに見えるのです。

デイサービスが「楽そう」に見えるなら、それはある意味では良いことなのかもしれません。ただし、それは仕事が楽だという意味ではなく、職員が楽しそうな時間を作れているということです。

利用者との関わりを楽しめる人には向いている

デイサービスは、利用者との関わりを楽しめる人には向いている仕事です。会話をすること。表情の変化に気づくこと。少しでも楽しめる活動を考えること。前は参加しなかった人が少し参加してくれたことを嬉しく感じられること。そういうことにやりがいを感じられる人にとって、デイサービスは魅力のある仕事です。

反対に、決められた介助だけをしていたい人や、自分から利用者に関わることが苦手な人にとっては、デイサービスの時間はつらく感じることがあります。介護技術があるかどうかだけでは、デイサービスに向いているかは決まりません。利用者と過ごす時間をどう感じるか。そこが大きいと思います。

楽すぎる仕事ではなく、楽しい時間を作る仕事

デイサービスは、楽すぎる仕事ではありません。ただ、利用者との関わりを楽しめる人にとっては、楽ではないけれど楽しい仕事になる可能性があります。楽をしたいからデイサービスを選ぶと、思っていた仕事と違うと感じるかもしれません。

利用者に楽しんでもらいたい、人と関わる時間を大切にしたい、その人に合った過ごし方を一緒に作りたいと思える人には、デイサービスは合いやすい仕事です。

デイサービスは、何もせずに楽をする仕事ではありません。楽そうに見える時間を、職員が考えて作っている仕事です。だからこそ、デイサービスは「楽な仕事」ではなく、「楽しい時間を作る仕事」だと思います。

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