デイサービスは、介護の仕事の中でも「楽そう」と思われやすい仕事です。
夜勤がなく、入所施設と比べると生活リズムも整えやすいため、これから介護職として働こうとしている人の中には、「デイサービスなら楽に働けるのではないか」と考える人もいるかもしれません。
たしかに、デイサービスには働きやすい面があります。しかし、働きやすいことと、楽なことは同じではありません。デイサービスでは、外から見ると楽しく見える時間ほど、職員の関わり方が問われる場面があります。
この記事では、デイサービスが楽そうに思われる理由と、実際にはどこに大変さがあるのかを、デイサービスの現場で働いてきた経験から書いていきます。
デイサービスが楽そうに見られる理由
介護の仕事というと、夜勤や早番・遅番があり、土日祝日も関係なく働く大変な仕事というイメージがあります。その中でデイサービスは、勤務シフトや仕事内容などから、比較的楽そうな仕事に見られやすい特徴があります。

夜勤がなく日勤中心で働きやすい
デイサービスは基本的に、利用者が朝来て、夕方に帰るサービスです。そのため、職員の勤務も日勤帯が中心になります。入所施設のように、夜勤を含めて24時間体制で生活を支える仕事とは違います。
また、日曜日を休業日としている事業所も多く、土日休みや年末年始に休みがある事業所もあります。365日稼働する入所施設と比べると、家族や友人と休みを合わせやすく、予定も立てやすいのが特徴です。
毎日ほぼ同じ時間に出勤し、帰宅できるため、生活リズムを整えやすく、プライベートの時間も確保しやすい。この勤務時間の安定感は、デイサービスの大きなメリットであり、働きやすさを感じる部分だと思います。
身体介助が少なく、楽しそうに過ごす時間もある
介護の仕事というと、ベッド上でのおむつ交換など、身体に負担のかかる介助をイメージする人も多いと思います。
デイサービスは入所施設と比べて要介護度が低い利用者も多く、身体介助の負担は比較的軽い仕事です。入浴や排泄などの介助もありますが、入所施設ほど身体介助に追われる仕事ではありません。
また、午後には利用者がテーブルで塗り絵やパズルをしたり、職員と会話を楽しんだりする時間もあります。体操やレクリエーションなど、利用者と職員が一緒に楽しそうに過ごしている姿も、デイサービスではよく見られる光景です。
入所施設と比べて身体介助の負担が軽く、利用者と一緒に楽しそうに過ごす時間もある。外から見ると、「デイサービスは楽そうな仕事」と感じるのも不思議ではないと思います。
「働きやすい」と「楽な仕事」は同じではない
デイサービスは夜勤がなく、日勤中心で働けるため、生活リズムを保ちやすく、働きやすい仕事です。しかし、働きやすいことと、業務内容が楽であることは同じではありません。

働きやすくても業務内容が楽とは限らない
夜勤がなく、勤務時間が比較的安定していることは、デイサービスで働く大きなメリットです。しかし、勤務時間や休日の面で働きやすいからといって、業務内容まで簡単になるわけではありません。
デイサービスでは、利用者が朝来て夕方帰るまでの限られた時間の中で、多くの業務をこなす必要があります。日勤中心で働けることは魅力ですが、決して仕事量が少ないわけではありません。
デイサービスでは幅広い業務をこなす必要がある
デイサービスの仕事は、朝の送迎から始まり、健康チェック、入浴、食事、体操、レクリエーション、排泄介助、見守り、帰りの送迎など多岐にわたります。さらに、家族への連絡事項の確認や記録など、利用者への直接的な介助以外にも仕事があります。
デイサービスでは、一つの業務だけを専門的に担当するのではなく、多くの職員が一通りの業務に携わります。利用者が過ごす一日の流れに合わせて、さまざまな役割をこなしていく必要があります。
勤務時間や休日の面では働きやすくても、限られた時間の中で幅広い業務をこなさなければならない。ここは、デイサービスの働きやすさと業務内容の大変さを分けて考えたいところです。

身体介助が少なくても、楽な仕事とは限らない
デイサービスは入所施設と比べて身体介助にかかる時間が少なく、その分、レクリエーションなど利用者と関わる時間が長くなります。楽しそうに見える時間ですが、僕はここにもデイサービスの仕事の難しさがあると思っています。

何もしなくても時間は過ぎていく
デイサービスでは、身体介助だけでなく、体操やレクリエーション、個別活動などを通して利用者と関わることも大切な仕事です。利用者と一緒に楽しんでいるように見えても、職員はただ遊んでいるわけではありません。
利用者に塗り絵を渡して、ただ見守っているだけでも時間は過ぎていきます。デイサービスには一日の終わりがあるため、何もしなくても帰りの送迎時間はやってきます。
しかし、それでは良いデイサービスにはなりません。利用者は、ただ時間をつぶすために通っているわけではないからです。「今日も来てよかった」と感じてもらえるように、一日の時間をどう使うかが大切になります。
利用者に合った過ごし方を考えるのは簡単ではない
利用者によって、楽しいと感じることは違います。塗り絵が好きな人もいれば、体操やゲームを好む人もいます。職員との会話を楽しみにしている人もいれば、静かに過ごしたい人もいます。
一人ひとりの好みや体調を考えながら、全体の活動も進めていく必要があります。全員に同じ活動を用意すればいいわけではなく、それぞれが無理なく楽しめる過ごし方を考えることも、職員の大切な仕事です。
身体介助に追われる時間が少なくても、利用者に楽しんでもらうための仕事があります。外からは楽そうに見えるかもしれませんが、人を楽しませることは簡単ではありません。身体的な負担とは違う難しさが、デイサービスにはあります。

介護経験が長くてもデイサービスは楽な仕事とは限らない
介護経験が長く、資格を持っているからといって、デイサービスの仕事を楽にこなせるわけではありません。僕が働いていたデイサービスにも、入所施設で経験を積んだ介護職員が転職してきたことがありました。

「楽な仕事だ」と話していた介護職員
その職員は、入所施設での介護経験があり、介護福祉士の資格も持っていました。デイサービスに転職してきて、入所施設とは違う仕事の様子を見たとき、「楽な仕事だ」と話していたのを覚えています。
入所施設とは違い、デイサービスでは身体介助に追われる時間が短く、利用者と会話やレクリエーションを楽しむ時間があります。職員も一緒になって楽しんでいる姿が、のんびりした仕事に見えたのだと思います。
レクリエーションの時間になると動けなかった
ところが、レクリエーションの時間になると、何をしていいか分からず、ただ立っているだけになっていました。周りの職員が利用者の反応を見ながら活動を進める中、その職員は自分から関わることができずにいました。
身体介助なら、目の前に必要な介助があり、何をするかがはっきりしています。でも、レクリエーションは違います。利用者に楽しんでもらうためには、職員が自分で考え、工夫しながら動く必要があります。
楽そうに見えた仕事が、本人には苦痛だった
結局、その職員は1週間も経たずに辞めてしまいました。辞めた理由を直接聞いたわけではありません。ただ、「楽な仕事だ」と思っていた本人にとって、利用者と関わる時間は、むしろ苦痛だったのではないかと思います。
デイサービスでは、身体介助にかかる時間が短い分、利用者と関わる時間が長くなります。楽しそうに見える時間も、職員が考えながら作っているものです。身体介助が少ないからといって、楽な仕事ではありません。

楽しそうに見える時間にも職員の頑張りがある
デイサービスでは、利用者だけでなく、職員も一緒に楽しそうに過ごしています。でも、それは職員が何も考えずに楽をしているからではありません。利用者に楽しんでもらうために、職員がいろいろと考え、工夫しているからです。

休みの日にも利用者が楽しめることを考えていた職員
僕の働いていたデイサービスには、休みの日にダイソーなどへ行き、レクリエーションの道具を探してくる職員がいました。パズルなどを見つけては、「これ、利用者さんにやってもらったらどうですか」と提案してくれました。
外出レクリエーションでも、似たようなことがありました。休みの日に出かけた職員が、アイスクリームを食べられる牧場のような場所を見つけ、「ここなら利用者さんも楽しめそうです」と教えてくれました。
休みの日まで仕事のことを考えるなんて、大変だと感じる人もいると思います。もちろん、そこまで求められる仕事ではありません。でも、二人とも誰かに言われてやっていたわけではありません。利用者に喜んでもらいたいという気持ちからの提案でした。
利用者のことを知っているからこそ生まれる工夫
普段から利用者と接していると、どんなことが好きで、何に興味を持つのかがわかってきます。だから、休みの日にパズルや外出先を見つけたときにも、「これなら楽しんでもらえそうだ」と思い浮かんだのだと思います。
実際、買ってきたパズルは利用者同士で取り合いになるほど人気があり、追加で購入することになりました。教えてもらった場所にもイベントで出かけ、利用者に喜んでもらえました。
利用者と楽しそうに過ごしている時間も、職員の考えや工夫があって成り立っています。その大変さを負担に感じる人もいれば、やりがいを感じる人もいます。今回の二人のように、人を楽しませることが好きで、自分自身も楽しみながら働いている職員もいます。

デイサービスは楽ではない。それでも楽しく働ける
デイサービスは、勤務シフトや身体介助の負担など、入所施設と比べて働きやすい面のある仕事です。それは確かですが、負担が軽い部分だけを見て、仕事全体が楽だとは言えません。デイサービスには、また違った大変さがあります。

楽そうに見えるのは、楽をしているからではない
デイサービスでは、身体介助にかかる時間が少ない分、利用者と一緒に過ごす時間が長くなります。職員と笑い合ったり、レクリエーションを楽しんだりする姿を見れば、確かに楽そうな仕事に見えると思います。
でも、利用者を楽しませることは簡単ではありません。一人ひとりの気持ちや体調を考え、安心して過ごせるように工夫する。職員はただ一緒に遊んでいるのではなく、楽しんでもらうために考えながら働いているのです。
ただ、僕はデイサービスが「楽」に見えるのは、むしろ良いことだと思っています。職員が楽をしているからではなく、それだけ楽しそうな時間を作れているということです。大変な仕事を、楽しそうにやっている。そこにデイサービスの良さがあると思います。
大変な仕事だからこそ、楽しめる人に働いてほしい
利用者を楽しませるために、何をしようかと考える。その時間を大変だと感じる人もいれば、考えること自体を楽しんでいる人もいます。実際、僕が一緒に働いてきた職員の中にも、利用者に喜んでもらうことを楽しみにしている人がいました。
だからといって、楽しんで働いている職員が楽をしているわけではありません。利用者に喜んでもらうためには、それだけ考え、工夫する必要があります。ただ、その大変さを負担と感じるだけでなく、仕事の楽しさに変えられる人もいます。
楽をしたいからデイサービスを選ぶと、思っていた仕事と違うと感じるかもしれません。でも、利用者に喜んでもらうことが好きなら、楽ではなくても楽しく働ける仕事だと思います。
デイサービスは「楽な仕事」ではなく、「楽しい時間を作る仕事」。僕は、そんな仕事を職員自身も楽しみながらできるところに、デイサービスの魅力があると思っています。


