デイサービスで働いていると、レクリエーションが苦手だと感じる人は少なくありません。入浴介助や食事介助、送迎など介護の仕事はいろいろありますが、デイサービスはその中でもレクリエーションの比重が大きい職場です。そのため、介護自体は嫌いではないのに、レクリエーションがつらくて「自分には合わないのではないか」と悩む人も実際にいます。
これは決して珍しいことではありません。むしろ現場感覚で言えば、レクリエーションを心から得意だと言える人の方が少ないのではないかと思うほどです。だからこそ、まずは「苦手なのは自分だけではない」という前提を知っておくことが大事です。
レクリエーションが苦手と感じる人は珍しくない
デイサービスの仕事を考えるうえで、まず知っておきたいのは、レクリエーションがかなり中心的な業務だということです。ただの付け足しではなく、日々の流れの中に組み込まれているのが特徴です。月に一度のイベントや誕生日会のような特別な行事だけではなく、毎日の活動として行うレクリエーションの負担が大きいのが現場の実態です。
デイサービスはレクリエーションが中心の仕事
デイサービスといえば、介護と同時にレクリエーションのイメージを持つ人も多いと思います。それぐらい、デイサービスではレクリエーションが日常業務の中で大きな割合を占めています。特に小規模のデイサービスでは、介護職員がそのままレクリエーション担当になることが一般的です。
大きい施設では専任に近い形で動く職員がいることもありますが、多くの現場ではそうではありません。介護職が送迎もやり、入浴もやり、その流れの中でレクリエーションの進行や準備も担うという形になります。だからこそ、レクリエーションが苦手だと日々の仕事そのものが重く感じやすくなります。
得意な人の方が少ないという現場の実感
実際に現場を見てきた感覚として、レクリエーションを得意と言える職員はそこまで多くありません。苦手だけれど何とかやっている、負担に感じながらも担当している、そのような職員も少なくない印象です。
ネタ出しや製作活動、進行に悩む声は本当に多くありました。レクリエーション担当向けの月刊誌やサブスクのようなものが成り立っていること自体、それだけ多くの現場が悩んでいる証拠だと思います。何をやればいいか分からない、毎回同じでいいのか不安、盛り上がらなかったらどうしようと悩むのは、現場ではごく普通にあることです。
レクリエーションが原因で「向いてない」と感じる人も多い
介護の仕事そのものが嫌なのではなく、レクリエーションが負担でデイサービスを辞めたくなる人もいます。これも大げさな話ではありません。レクリエーションの時間が近づくだけで気が重くなる、担当表を見るたびに憂うつになる、そのような声は現場で実際にあります。
だから、レクリエーションが苦手で「自分はデイサービスに向いていないのではないか」と感じること自体は不自然ではありません。まずはそこを責めすぎないことが大事です。
なぜデイサービスにレクリエーションが必要なのか
苦手意識が強くなる理由の一つに、レクリエーションの意味が分からなくなってしまうことがあります。楽しませるためだけの時間だと思うと、余計にプレッシャーが強くなります。ですが本来の役割はもっと別のところにあります。
身体機能・認知機能の維持という役割
レクリエーションは、利用者の身体や精神的な機能を維持したり向上したりするために行われるものです。体操やゲーム、散歩などを通じて体を動かすこと、考えること、反応すること、それ自体に意味があります。
ただの暇つぶしではなく、生活機能の維持につながるからこそ、デイサービスでは欠かせない活動になっています。ここを理解しておくと、「絶対に笑いがおきなければいけない」と思い込みすぎずに済みます。
交流による生活の質の向上
レクリエーションには、他の利用者と一緒に過ごすこと自体にも価値があります。一人で家にいるだけでは得られない刺激や会話があり、そこに参加することが生活の質につながる面もあります。
デイサービスは在宅生活を支える場です。その中で、誰かと一緒に笑う、反応する、見て楽しむだけでも意味があります。全員が大笑いして盛り上がることだけが価値ではありません。
「盛り上げること」だけが目的ではないという前提
現場ではつい、レクリエーション担当になると「盛り上げなければいけない」「白けさせてはいけない」と考えがちです。しかし本来は、職員が司会者のように完璧に場を回すことだけが目的ではありません。
機能維持や交流のきっかけになるなら、それで十分に意味があります。この前提を持つだけでも、苦手意識はかなり軽くなります。
現場で感じるレクリエーションのリアルな負担
では実際に、レクリエーションの何がそこまで負担になるのでしょうか。ここは現場でよく出る悩みを整理した方が分かりやすいと思います。
ネタ出し・準備の負担と持ち帰り業務の現実
一番大きいのは、何をやるか考える負担です。毎日違うことをやらなければいけないと思い込む人ほど、かなり苦しくなります。実際にマンネリ化やネタ切れで悩む職員は多くいました。
しかも現場では、介護や記録、送迎など他の業務もあるため、勤務時間内にゆっくり考える余裕がないことも多いです。その結果、自宅でアイデアを考えたり、必要な道具を作ったりしている職員もいました。ここまで来ると、レクリエーションそのものより準備の負担の方が重く感じることもあります。
盛り上がらなかった時のプレッシャー
他の職員の時は盛り上がっていたのに、自分の時だけ反応が薄いとかなり落ち込みます。「つまらないと思われたらどうしよう」「こんなので楽しんでくれるのかな」と考えるのは、レクリエーション担当なら珍しいことではありません。
このプレッシャーは思った以上に大きいです。レクリエーションの質を上げなければいけない、面白くなければいけないと考えすぎることで、どんどん苦手意識が強くなっていきます。
人前で進行することへの苦手意識
そもそも、人前に立って進行すること自体が苦手な人もいます。利用者の前で声を出して場を回し、反応を見ながら進めるのは、向き不向きが出やすい部分です。
介護の仕事がしたくて入ったのに、こんなに人前で話すとは思わなかったという人もいます。現場を回すことや大きな声で進行することが苦手な人にとっては、それだけで大きな負担になります。
利用者の反応による自己否定
一生懸命やっても、利用者の反応が薄いことはあります。「つまらない」「やりたくない」と言われれば、やはり傷つきます。盛り上げようとしている気持ちだけが空回りして、自分は向いていないのではないかと感じてしまう人も多いです。
特に、最初から消極的な利用者がいると、余計にやりにくくなります。ですが、そこで全部を自分の責任だと思い込む必要はありません。
全員が楽しめるレクリエーションは存在しないという現実
レクリエーションが難しいのは、職員の能力不足だけではありません。そもそも構造的に難しい仕事です。ここを理解しておかないと、必要以上に自分を責めてしまいます。
利用者ごとの好み・性別によるズレ
まず、利用者は全員好みが違います。現場感覚では、デイサービスのレクリエーションは女性寄りの内容になりやすい印象があります。塗り絵などは特にそうで、男性利用者の中には「こんなことやってられない」と拒否する方もいました。
つまり、ある人には合っても別の人には合わないということが普通に起きます。全員が同じ温度で楽しむことを前提にする方が無理があります。
能力差によるレベル設定の難しさ
利用者は介護度も身体能力も認知面もばらばらです。全員が一緒に参加できるレベルに合わせようとすると、どうしても内容は単純になりやすくなります。
すると、まだ元気な方には物足りなく感じられますし、逆に少し難しくすると参加しにくい方が出てきます。このバランスを完全に取るのはかなり難しいです。
人間関係や体力による参加のばらつき
現実には、レクリエーションの問題だけではない場面もあります。利用者同士の相性が悪くて参加しない、やりたい気持ちはあっても体力的に難しい、そのようなことも普通に起きます。
だから、全員参加で大盛り上がりにならないからといって、担当職員が失敗したとは限りません。むしろ、全員が同じように楽しめないのが自然なくらいに考えた方が現実的です。
レクリエーションの負担を軽くする現場での考え方
苦手意識を軽くするには、やり方だけではなく考え方を変えることも大切です。現場で見てきた中でも、ここを変えるだけでかなり楽になる人はいました。
毎日新しいことをやる必要はない
まず、毎日新しいレクリエーションを考えなければいけないわけではありません。人はそんなに毎日新しい遊びを求めているわけではないからです。趣味でも、好きなものを繰り返すのが普通です。
デイサービスでも同じで、利用者は必ずしも新作ばかりを求めていません。新しいことを試したのに、結局「いつもの方がよかった」となることも実際によくあります。
盛り上がる定番は使い回していい
現場には、「これをやれば盛り上がる」という定番のレクリエーションがいくつかあります。そういうものがあるなら、使い回して問題ないと私は思っています。
もちろん、身体的にも認知的にも合わないものや、全体の活動として成立しないものなら見直す必要はあります。しかし、実際に機能していて利用者の反応も良いなら、毎回無理に新しいことを出す必要はありません。
「全員を楽しませる」を手放す
一番大事なのは、全員を楽しませなければいけないという考えを手放すことです。職員がどれだけ頑張っても、全員が同じように笑って参加することはなかなかありません。
だからこそ、頑張った結果として一部の人が乗らなかったとしても、そこまで気にしすぎないことです。適当に流すのは良くありませんが、うまくいかなかったことを全部背負う必要もありません。
苦手でも続けられる実践的な対処法
レクリエーションが苦手でも、やり方次第で続けやすくなることはあります。現場で実際に見てきた中で、効果があったと感じることを書きます。
自分が楽しむことを優先する
うまくやろうとしすぎるより、自分自身が思い切って楽しむ方がうまくいくことがあります。一生懸命さは意外と利用者に伝わります。暗い顔で困りながら進めるより、多少不格好でも明るくやる方が空気は良くなります。
実際、職員が振り切って楽しんでいると、利用者の方が合わせてくれることもあります。こちらが気楽になることで、場の空気も柔らかくなることはよくあります。
慣れによって苦手意識は薄れていく
人前に出るのが苦手な人でも、慣れで変わることはあります。最初は苦手だった職員が、気がつけば中心になって回していたという場面を私は何度も見てきました。
もちろん全員がそうなるわけではありませんが、最初から向いていないと決めつけすぎない方がいいです。苦手と下手は同じではなく、経験の少なさが原因のこともあります。
一生懸命さが利用者に伝わるケース
利用者は案外、職員の頑張りを見ています。完璧な進行よりも、一生懸命やっている姿に反応してくれることもあります。放っておけずに乗ってくれたり、笑ってくれたりすることも実際にあります。
だから、最初から上手にやることだけを目指さなくていいと思います。苦手でも真剣に向き合っていること自体に意味があります。
どうしても負担が大きい場合の考え方と選択肢
それでも、個人の工夫だけでは限界があるケースもあります。そこは無理に根性論で乗り切るものではありません。
職場によってレクリエーションの負担は大きく違う
デイサービスだから必ず同じ働き方になるわけではありません。事業所によってはレクリエーション担当がある程度決まっていたり、役割分担がはっきりしていたりします。
逆に、準備は自宅でやるのが当たり前のような空気がある職場もあります。勤務時間中は介護で手いっぱいなのに、準備だけは各自で何とかするという現場も実際にあります。この差はかなり大きいです。
分担や体制で負担は大きく変わる
レクリエーションが好きな職員に比重を置く、苦手な人は別の役割で支える、そのような形でうまく回る職場もあります。みんな平等に同じだけ担当しなければいけないと決めつけなくても、現場として回ることはあります。
もし職員側の思い込みや空気感で負担が重くなっているなら、話し合いや上司への相談で改善する可能性もあります。個人の問題に見えて、実は体制の問題ということは少なくありません。
無理なら環境を変えるという選択もある
ただ、法人や管理者の考え方自体が固く、改善が難しい場合もあります。「そんなものは家でやってくればいい」という体質の職場では、どうしても苦しくなります。
私は無理をする必要はないと思っています。デイサービスは本来、楽しい面も多い仕事です。それがレクリエーションだけで苦痛になってしまうなら、環境を見直すことも一つの選択です。合わない現場は確かにあります。
レクリエーションは「楽しませる仕事」ではなく「支える仕事」
ここまで書いてきたように、レクリエーションが苦手だと感じるのは不自然なことではありません。負担が大きいのも事実ですし、実際に悩んでいる職員は多くいます。
ただ、レクリエーションの本質は、職員が完璧に楽しませることではありません。利用者の生活を支え、体や心の動きを引き出し、場をつくることに意味があります。そう考えると、完璧主義で苦しくなる必要はありません。
多少うまくいかない日があっても、それを含めて現場の空気として受け入れられることは普通にあります。苦手でも少しずつ慣れていくこともありますし、定番を使いながら続ける方法もあります。
それでもどうしてもつらいなら、自分を責めるのではなく、職場環境を見直してみることも大切です。デイサービスだから必ず同じ苦しさを抱えなければいけないわけではありません。自分に合った環境で働くことが、長く続けるためには何より大事だと思います。