デイサービスの給料は本当に安いのか【元専務が経営者視点で解説】

「介護職は給料が安い」

これはよく言われる話です。実際、私も介護業界に15年以上関わってきましたが、一般企業のサラリーマンと比較した場合、給料が安いと言われるのはある意味事実だと思います。

ただしこれはあくまで業界全体の平均の話です。

実際の現場を見てきた立場から言うと、介護職の給料は「一括りには語れない」というのが正直なところです。
特にデイサービスの給料については、

・施設形態
・資格の有無
・働く法人
・年齢やキャリア

こうした条件によってかなり差が出ます。

この記事では、私が現場職員、管理者、そして法人側の立場として見てきた経験をもとに、デイサービスの給料のリアルを解説します。

目次

介護業界は給料が安いと言われる理由

まず前提として、介護業界は平均給与で見ると、一般企業より高いとは言えません。

そのため「介護職は給料が安い」と言われるのは自然なことです。
ただしここには大きな前提があります。

それは、介護業界の給与構造が一般企業とはかなり違うという点です。

一般企業の場合
・年齢給
・勤続年数
・会社規模

などが給与に強く影響します。

しかし介護業界はそこよりも、資格や制度による手当の影響が非常に大きい業界です。

入所施設よりデイサービスの給料が安いと言われる理由

介護職の中でも、よく言われるのが、「デイサービスは給料が安い」という話です。

これは現場の感覚としても、ある程度事実だと思います。

夜勤手当がないことによる差

一番大きな理由は夜勤の有無です。

特養や老健などの入所施設では、正社員介護職員の場合ほとんどの施設で夜勤があります。
一般的には

・週1回程度
・月4〜5回

くらいの夜勤になることが多いです。そして夜勤1回あたりの手当は、数千円から、高いところだと1万円前後
というケースもあります。

つまり月にすると、2万円〜5万円程度の差が出ることも珍しくありません。

デイサービスは基本的に夜勤がないため、この差がそのまま給与差になることがあります。

介護業界の給料は「資格」で大きく変わる

介護業界で給与に大きく影響するのが資格です。特に重要なのが、介護福祉士という国家資格です。

介護福祉士の資格が給与に与える影響

多くの事業所では

・資格手当
・処遇改善加算の配分

などで、介護福祉士の有無によって給与が変わります。

私が採用担当をしていた頃も、同じ介護職でも

・無資格
・初任者研修
・介護福祉士

この違いだけで給与テーブルが変わることは普通にありました。

若いうちから働くとむしろ給料は高いケースもある

これは現場でよく見てきたことですが、福祉系の専門学校などを卒業して18歳〜19歳で介護業界に入る人は、同年代の友人より給料が高いケースもあります。

実際に私の事業所に就職してきた若い職員が、「友達より自分の方が給料が多い」と言っていたこともありました。

一般企業は年齢や勤続年数で給与が上がることが多いですが、介護業界は若くても資格があれば給与に反映されやすい特徴があります。

介護職の給料を押し上げている各種手当

最近の介護業界では、給与を押し上げている大きな要因があります。それが国や自治体の手当制度です。

介護職員等処遇改善加算

代表的なのが、介護職員等処遇改善加算です。

これは介護職員の待遇改善を目的にした制度で、事業所が条件を満たすことで国から補助金が出ます。この手当だけでも、事業所によっては、月数万円の給与アップになるケースもあります。

自治体の独自手当(居住支援特別手当など)

さらに自治体独自の支援も増えています。例えば東京都では、居住支援特別手当という制度があり、月1万円〜2万円、程度の手当が支給されます。

こうした制度が増えているため、以前よりも介護職の給与は改善されています。

同じデイサービスでも給料が大きく違う理由

ここは現場を長く見てきて強く感じる部分ですが、デイサービスは事業所によって給与差がかなりあります。

小規模デイサービスと大規模デイサービス

デイサービスには

・地域密着型通所介護(定員18人以下)
・通常規模以上通所介護(19人以上)

という区分があります。

一般的には、規模が大きい事業所の方が経営の余裕があることが多く、給与も高くなる傾向があります。

法人の規模と運営母体の違い

介護業界の統計を見ると

入所施設
→ 社会福祉法人など公益法人がほとんど

デイサービス
→ 営利法人も多い

という特徴があります。

社会福祉法人は資本力が大きく、給与水準も比較的安定しています。一方でデイサービスは、小規模な会社が運営しているケースも多く、その差が給与にも影響します。

補助金申請の差が給料の差になる

実は意外と知られていないのですが、処遇改善加算などの手当は、職員が直接もらうものではありません。

流れは、

行政 → 法人 → 職員

という形になります。つまり法人が

・制度を理解しているか
・申請をしているか

によって、給与に差が出ます。

実際、処遇改善加算などを十分に活用していない事業所もあります。そしてそういうケースは、小さな営利法人で起きやすいのが現実です。

同じデイサービスでも月数万円の差が出ることも珍しくありません。

介護職の給料は今後どうなるのか

介護業界は今後さらに人手不足が進むと言われています。そのため国も

・処遇改善加算
・特定処遇改善加算
・ベースアップ等支援加算

など、さまざまな制度を増やしてきました。

昔は看護師も、「仕事がきついのに給料が安い」と言われていた時代がありました。しかし現在では、安定した職業として認識されています。

介護職も同じように、今後待遇が改善していく可能性は十分にあると私は考えています。

まとめ:デイサービスの給料は「働く場所」で大きく変わる

デイサービスの給料についてまとめると

・介護業界全体では給料が安いと言われるのは事実
・入所施設よりデイサービスは夜勤がない分安くなることがある
・資格によって給与は大きく変わる
・国や自治体の手当で給与は改善している
・同じデイサービスでも法人によって差が大きい

つまり

「介護職は給料が安い」と一括りには言えない

というのが現場を見てきた実感です。

デイサービスでも、法人・制度・資格によっては十分な給与を得ることも可能です。これから介護業界で働く人は、職場選びによって給与は大きく変わる、という点をぜひ知っておいてほしいと思います。

この記事を書いた人

デイサービス歴15年。現場から経営・採用まで幅広く経験してきました!
100名以上の面接実績を活かし、現場の本音や転職に役立つ知見を発信中。
「チームで支える介護」の魅力を広め、皆さんの心強い味方を目指します!

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