デイサービスと特養の違いをわかりやすく比較|通所と入所で変わる仕事の中身【介護歴15年の現場経験から解説】

デイサービスと特養って何が違うのか。この疑問は、利用者側から見ても気になるテーマですが、これから介護職で働こうとしている人にとっては特に大きいと思います。同じ介護でも、デイサービスと特養では役割も仕事内容も働き方もかなり違います。現場で働く職員の負担や向いている人のタイプまで変わってくるので、何となく同じ介護の仕事として見てしまうと、入ってからギャップを感じる事になるでしょう。

実際に現場で見てきても、デイサービスの働き方が合う人もいれば、特養の方が向いている人もいます。ここでは、デイサービスと特養の違いを、仕組み・仕事内容・負担・給料・関係性まで、現場経験ベースで整理していきます。

目次

デイサービスと特養の違いは「通い」と「入所」という仕組みの違い

まず一番大きい違いは、デイサービスが通いのサービスで、特養が入所のサービスだという点です。この違いが、利用者にとっての役割だけでなく、職員の働き方にもそのままつながっています。

デイサービスは自宅での生活を続けるための支援

デイサービスは、自宅で生活している高齢者が事業所に通って利用するサービスです。役割としては、利用者が住み慣れた家でできるだけ長く暮らしていけるように支えることにあります。

そのため、ただ介護をするだけではありません。自宅に閉じこもらず社会とのつながりを持つこと、体操やレクリエーションで身体機能や認知機能を維持すること、そうした部分が大きな意味を持ちます。さらに、家族が24時間365日介護で疲れ切らないように、一時的に介護から離れる時間をつくるレスパイトの役割もあります。デイサービスは本人のためのサービスであると同時に、家族を支えるサービスでもあります。

特養は生活の場として最期まで支える施設

一方で特養は、入所して生活する施設です。自宅での生活が難しくなってきた高齢者が、生活の場を施設に移して暮らしていく場所になります。よく終の棲家と言われますが、まさに生活そのものを支える前提のサービスです。

家族にとっても、介護負担が重くなってきた時に、介護から卒業するための場所という意味合いがあります。原則として要介護3以上の方が対象となるため、デイサービスよりも介護度は高くなりやすく、職員が担う役割も生活全体に及びます。ここが、通いのデイサービスと大きく違うところです。

デイサービスの一日の流れと現場のリアルな仕事内容

デイサービスは比較的明るく、楽しそうなイメージを持たれやすいですが、実際の現場はそれだけではありません。介護もありますし、時間に追われる場面もあります。ただ、特養とは違い、仕事の中心にあるのは「一日を楽しく過ごしてもらうこと」です。

送迎から始まり送迎で終わる一日の流れ

デイサービスの一日は、朝の送迎から始まります。多くの施設では介護職員が送迎車を運転し、利用者の自宅まで迎えに行きます。到着後はバイタルチェックを行い、その日の状態を見ながらサービスが始まります。

午後の活動が終われば、また送迎に出て自宅へ送り届けます。つまり、デイサービスは一日の始まりも終わりも送迎です。特養にはない業務であり、運転の責任や時間管理の緊張感もあります。介護の仕事というより、そこに接客や訪問的な要素も混ざってくるのがデイサービスの特徴です。

入浴・食事介助はあるが時間に追われやすい業務

午前中は主に入浴サービスが中心になります。デイサービスの中で身体的に一番負担がかかるのは、この入浴介助だと思います。時間に追われやすく、身体介助が必要な利用者が重なると、かなり忙しくなります。

昼食時には食事介助や口腔ケアもありますし、排泄介助も必要です。ただ、デイサービスは一般的に平均介護度が2程度であることが多く、特養のように一日中身体介助が続く形にはなりにくいです。身体介助はあるけれど、それが仕事の大部分ではないという点は、特養との大きな違いです。

レクリエーションとコミュニケーションが仕事の中心

デイサービスでは、午後にレクリエーションの時間がしっかり取られることが多いです。体操、風船バレーのような体を動かすもの、クイズのように頭を使うもの、制作活動のように手先を使うものなど、介護職員が企画して進めていきます。

ここで大事なのは、デイサービスでは「介護してもらえて助かる」だけでは足りないということです。利用者にとって、またこの事業所に行きたいと思えるかどうかは、レクリエーションが楽しかったか、職員と一緒にいて楽しかったかが大きく影響します。だから、コミュニケーションや場の雰囲気づくりの力がかなり重要になります。明るく、一緒にいて楽しい人、人を楽しませるのが好きな人は、ここにやりがいを感じやすい仕事です。

特養の一日の流れと身体介助中心の仕事の実態

特養もレクリエーションやコミュニケーションがないわけではありません。ただ、仕事の重心は明らかに身体介助の方にあります。生活そのものを支える以上、介護の量も密度もデイサービスとはまったく違ってきます。

早番・日勤・遅番・夜勤で回す24時間の介護

特養は24時間365日の施設です。朝食から始まり、食事介助、口腔ケア、服薬のサポート、日中の見守り、入浴、夕食、就寝介助、夜間のトイレ介助やおむつ交換まで、利用者の生活は切れ目なく続きます。

職員はそれを早番・日勤・遅番・夜勤のシフトで支えます。デイサービスのように朝から夕方で仕事が終わるわけではなく、夜勤も含めて生活リズムごと仕事に合わせる必要があります。介護職としての覚悟が求められるのは、この24時間体制の重さが大きいです。

三大介助が中心となる日常業務

特養では、利用者の平均介護度が4程度と高めであることが多く、食事介助、入浴介助、排泄介助の三大介助が仕事の中心になります。デイサービスよりも身体介助にかける時間が圧倒的に長く、一日を通して介助の割合が大きいです。

従来型の特養では、数十人規模のフロアを職員で見ていくこともあり、レクリエーションの時間があっても短めに区切られていることが多いです。その分、身体介助の場数は踏めますし、一般的に言われる介護技術はかなり身につきやすいです。特養を経験した人が転職で即戦力として見られやすいのは、この積み重ねが大きいと思います。

看取りや認知症対応など精神的負担も大きい

特養の大変さは身体的な負担だけではありません。入所施設なので、利用者の最期まで関わることがあります。看取りの場面を経験することもあり、これは精神的にかなり重いです。

また、介護度が高いということは、認知症が進んでいる方も少なくありません。中には怒鳴る方や暴力が出る方もいます。そうした利用者と毎日関わり続けるのは、体力だけでなく精神面でも負担になります。介護技術が身につく反面、それだけ厳しい現場でもあるということです。

働き方・生活リズム・給料の違いはここまで変わる

仕事内容だけでなく、働き方や給料もかなり違います。どちらが良い悪いではなく、生活の中で何を重視するかによって向き不向きが変わってきます。

デイサービスは日勤中心で生活リズムが安定

デイサービスは基本的に日勤のみで、日曜日が定休日の施設も多いです。そのため、生活リズムが整いやすく、家族や友人と予定を合わせやすいという大きなメリットがあります。家庭を持っている人には、介護職の中でもかなり働きやすい部類だと思います。

長く介護業界で働いていくことを考えた時に、夜勤がないことは健康面でもかなり大きいです。規則正しい生活を送りたい人にとって、デイサービスは強い魅力があります。

特養は夜勤ありで不規則だが収入は高め

特養は夜勤がほぼ必須になります。生活は不規則になりやすく、体調管理をしっかりしないときついです。若い時は夜勤明けでも動けても、年齢を重ねると夜勤明けに思い切り寝てしまい、そのまま数日だるさが残ることもあります。そういう意味では、健康面での負担はやはり大きいです。

ただ、その分収入は高くなる傾向があります。夜勤手当があるので月収でも数万円違うことがありますし、年収で見れば数十万円変わることも珍しくありません。介護職は給料が安いと言われがちですが、特養では他業種と比べても大きく見劣りしない水準までいくこともあります。

法人規模の違いによる待遇の差

この差には、夜勤手当だけでなく法人規模の違いもあります。特養は社会福祉法人など比較的大きな法人が運営していることが多く、給料だけでなく賞与や退職金も含めて安定しやすいです。

一方でデイサービスは、営利法人が多く、特に小規模な地域密着型通所介護では法人自体が小さいことも珍しくありません。退職金がないところもありますし、金銭面では全体的に少なめになりやすいです。デイサービスの働きやすさは魅力ですが、その反面、収入面では特養に劣りやすいのが現実です。

利用者との関係性の違いが仕事のやりがいを変える

同じ介護職でも、利用者との距離感はかなり違います。この違いは、仕事のやりがいにも、その重さにもつながります。

デイサービスは「楽しい時間を共有する関係」

デイサービスの利用者は、自宅で生活しながら週に何回か通ってきます。毎日顔を合わせるとは限らず、介護職員は生活全体を支える存在というより、社会とのつながりの一つという立場になりやすいです。

そのため、利用者にとっては「遊びに来る」「楽しい時間を過ごす」という感覚も強くなります。家族の介護が休まる時間をデイサービス職員が支える、そういう関係です。コミュニケーション能力や、相手を楽しませる力がつきやすいのは、この関わり方があるからだと思います。

特養は「家族に近い関係」になる現場

特養では、利用者は施設で生活しています。毎日の生活の中心にいるのは職員です。だから、職員が思っている以上に、利用者にとって職員の存在は家族に近くなります。

実際に、実の親子関係のような間柄になることもあります。日々の介護だけでなく、感情の面でも深く関わるので、利用者との距離は自然と近くなっていきます。これはデイサービスにもありますが、特養ではこの関係性は特に深くなりやすいです。

深い関係だからこそ生まれるやりがいと重さ

その深さは、大きなやりがいにもなります。利用者の人生と本気で向き合うこと、看取りまで含めて関われることは、人として深い経験になります。

ただ、その分だけ別れも重いです。長く関わった利用者を看取ることは、簡単なことではありません。デイサービスのような明るさとは違う意味で、特養には介護職としての重みがあります。ここに価値を感じる人もいれば、しんどいと感じる人もいます。

デイサービスと特養、それぞれに向いている人の特徴

ここまで見てくると、デイサービスと特養では求められるものがかなり違うことが分かると思います。仕事内容も、生活リズムも、利用者との関わり方も違うので、向いている人のタイプも自然と分かれてきます。ここは文章で流すよりも、特徴を整理して見た方が分かりやすい部分なので、分けて見ていきます。

デイサービスに向いている人の特徴

デイサービスに向いている人には、次のような特徴があります。

  • 規則正しい生活を送りたい人
  • 明るい雰囲気の中で働きたい人
  • 介護未経験で入り口として考えている人
  • 前職で接客業など、人と関わる仕事をしていた人
  • 人を笑わせたり、その場を盛り上げたりするのが好きな人
  • レクリエーションを苦痛に感じにくい人
  • 日曜日は休んで、家族や趣味の時間を大事にしたい人
  • 車の運転が苦手ではなく、送迎にも抵抗がない人
  • 将来的にケアマネジャーを目指したい人

デイサービスでは、利用者との会話だけでなく、ご家族とのやり取りや送迎時の対応など、介護そのもの以外の対人スキルもかなり求められます。だからこそ、接客経験がある人や、人と関わることに前向きな人は力を発揮しやすいです。

また、デイサービスは在宅生活を支える仕事なので、将来ケアマネジャーを目指す人にとっても学びが多い現場です。その一方で、レクリエーションが苦手な人、人前で場を回すことに強いストレスを感じる人、送迎の運転に不安がある人にとっては、思っている以上に負担になりやすい仕事でもあります。

特養に向いている人の特徴

特養に向いている人には、次のような特徴があります。

  • とにかく介護技術をしっかり身につけたい人
  • 身体介助の経験を多く積みたい人
  • 利用者の人生に深く関わる仕事をしたい人
  • 看取りも含めて介護の現実に向き合いたい人
  • 少しでも収入を上げたい人
  • 夜勤を含む不規則な勤務でも生活リズムを管理できる人
  • 体力面にある程度自信がある人
  • これから長く介護職で働いていきたいと考えている人
  • 将来的に転職する時も即戦力として評価される経験を積みたい人

特養は、食事介助・入浴介助・排泄介助といった身体介助の割合が大きく、介護技術を身につけるには非常に実践的な現場です。三年間しっかり働いて介護福祉士を取り、その後に転職するとなった時でも、特養経験は評価されやすいと感じます。それだけ、介護職としての土台が作られやすい現場だということです。

ただし、その分だけ仕事は厳しいです。身体的な負担も大きいですし、夜勤による生活の不規則さもあります。さらに、利用者の最期まで関わることや、認知症の重い方と日々向き合うことも含めて、精神的にも軽い仕事ではありません。だからこそ、収入だけで選ぶというより、自分がその重さに向き合えるかどうかも大事になります。

よく言われる人間関係の問題はサービス種別ではなく職場環境の問題

ただ、ひとつ言えるのは、人間関係が厳しいかどうかは、デイサービスか特養かの違いではないということです。そこはサービス種別の問題ではなく、あくまでその職場ごとの差です。

デイサービスだから人間関係が良い、特養だから悪い、あるいはその逆ということはありません。そこを勘違いすると、サービスの違いだけを見て転職して、結局また同じ悩みを抱えることにもなりやすいです。大事なのは、デイサービスと特養の特徴を理解したうえで、さらにその職場の雰囲気や体制も分けて見ることです。

デイサービスと特養の違いは「どちらが良いか」ではなく働き方の選択

ここまで見てきた通り、デイサービスと特養は、仕事内容も役割も負担も給料もかなり違います。ですが、どちらが上か下かという話ではありません。介護職の中で、何を大事にして働くかの違いです。

働きやすさは仕事内容ではなく環境で変わる

デイサービスは規則正しく働けて、人と楽しく関わる時間が多い仕事です。特養は身体介助が多く、夜勤もあり、負担は大きいですが、その分だけ給料や介護技術の面で得られるものがあります。

ただし、同じデイサービスでも職場によってかなり違いますし、同じ特養でも働きやすさは変わります。サービスの特徴を知ることは大事ですが、それだけで判断すると足りません。実際に働きやすいかどうかは、職場環境による部分も大きいです。

自分に合わないと感じたら選び直すことも必要

介護の仕事は、合う合わないがかなりはっきり出ます。デイサービスの明るさが合う人もいれば、特養のように介護にしっかり向き合える現場の方がやりがいを感じる人もいます。逆に、どちらにも向き不向きがあります。

だからこそ、デイサービスと特養の違いを知ることは大事です。何となくのイメージで選ぶのではなく、自分の体力、生活リズム、価値観、仕事に求めるものを考えて選ぶ方が、長く続けやすくなります。どちらも介護として大切な仕事ですが、自分に合う働き方を選ぶことが一番大事です。

この記事を書いた人

デイサービス歴15年。現場から経営・採用まで幅広く経験してきました!
100名以上の面接実績を活かし、現場の本音や転職に役立つ知見を発信中。
「チームで支える介護」の魅力を広め、皆さんの心強い味方を目指します!

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