デイサービスの面接では、いろいろな質問をされます。その中でも、「送迎できますか」という質問は、ほかの質問とは少し性質が違います。なぜならこの質問は、答え方の工夫で何とかするというより、本当にできるかできないかを見られている質問だからです。
介護経験はあるか、利用者対応はどう考えるか、レクリエーションは得意か。こういう質問にはある程度幅があります。経験の長さも違えば、考え方も違うので、答えの出し方にも余地があります。しかし送迎に関しては違います。運転するのか、しないのか。送迎を任せられるのか、任せられないのか。その一点をかなり現実的に見られています。
僕自身、採用に関わっていた時、この質問だけは受け取り方がほかと違いました。人柄が良くても、介護経験があっても、送迎要員として必要な募集であれば、ここができない時点で採用がかなり厳しくなることがありました。逆に言えば、この質問の本質を分からずに面接を受けると、最初からズレた受け答えになってしまいます。
デイサービス面接で「送迎できますか」が重く見られる理由
デイサービスの面接で「送迎できますか」と聞かれる時、応募者の中には「一応聞かれているだけかな」と受け取る人もいます。しかし実際には、かなり重要な確認として聞かれていることが多いです。特に小規模デイサービスのように、介護職員が送迎を担う職場では、この質問の重みはかなり大きくなります。
「経験がありますか」とは違い、答えが曖昧にできない質問
介護の仕事に関する質問は、多少曖昧でも成り立つことがあります。たとえば「介護経験はありますか」と聞かれた時も、施設経験なのか在宅経験なのか、仕事なのか家族介護なのかで中身は変わります。そこには幅があります。
しかし「送迎できますか」はそうではありません。運転できるか、できないか。送迎に入れるか、入れないか。かなりはっきりした確認です。だからここで濁した答えをしても、採用側には通じません。むしろ曖昧にした時点で、「この人は運転できないのだろうな」と受け取られることもあります。
採用側は“今この人を送迎要員として数えられるか”を見ている
採用側がこの質問で見ているのは、運転免許証を持っているかどうかではありません。今この人をシフトの中で送迎要員として数えられるかどうかです。ここが本質です。
デイサービスの送迎は、ただ車を動かせばいい仕事ではありません。時間どおりに回ること、安全に送ること、利用者対応ができること、道や車両に慣れることも含めて成り立っています。だから採用側としては、「免許はあります」より「実際に任せられるか」の方がずっと大事になります。
募集要項の書き方で答え方は変わる
この質問にどう答えるべきかは、求人票にどう書かれていたかで大きく変わります。ここを見ずに面接での受け答えだけ考えても、ズレます。まずは募集の時点で、その職場が送迎をどの程度重視しているかを読まなければいけません。
「要普通免許」と書かれていた場合
この場合は、かなり分かりやすいです。「要普通免許」と書かれていたなら、実質的には送迎をする前提で募集していると思った方がいいです。免許を持っているだけでよくて、運転はしなくてもいい、という意味でこの書き方をすることはまずありません。
中には資格募集で、「要介護福祉士」と書いてあっても、実務能力そのものより人員基準の都合で資格者が必要という場合もあります。しかし普通免許に関しては少し違います。普通免許を必須にしている時点で、「送迎ができる人がほしい」と見た方が現実に近いです。
「普通免許あれば尚可」と書かれていた場合
尚可の場合は、できればありがたいという温度感です。つまり送迎ができないから即不採用とまでは限りません。ただし、できる人の方が評価されやすいのは間違いありません。送迎要員が一人でも多い方がシフトを組みやすいからです。
この場合は、今できるかどうかに加えて、今後どう考えているかも見られます。送迎は難しいけれど、慣れたら挑戦したいのか。それとも本当にやりたくないのか。その違いは採用側にも伝わります。
免許や送迎について何も書かれていなかった場合
募集に免許の記載がないのに面接で聞かれることはあります。これはデイサービスでは珍しくありません。特に小規模デイサービスでは、念のため確認しておく質問として定番になっていることがあります。
ただ、この場合は「要普通免許」とは重みが違います。あくまで確認の意味合いが強く、できれば助かる、できなくてもそれだけで大きく減点するわけではない、ということも多いです。だからこそ、ここでの答え方は少し柔らかく考えていい部分があります。
「要普通免許」の求人なら実質的に答えは決まっている
このパターンは、一番はっきりしています。採用されたいなら「できます」と言える状態で面接に行くべきです。逆に言えば、運転できないのにここへ応募しても、かなり厳しいです。
免許を持っているだけでは条件を満たしたことにならない
「普通免許必須」と書いてあると、免許証さえ持っていれば条件は満たしていると思う人がいます。しかし採用側の感覚はそうではありません。免許証そのものより、その免許で実際に送迎業務ができるかが問われています。
ペーパードライバーでほとんど運転していない人が、「免許はあります」と言っても、採用側からすると戦力としては数えにくいです。条件に形式上は当てはまっていても、実務の前提を満たしていないと見られるからです。
「ペーパーで自信がありません」はほぼ不採用と考えた方がいい
ここは厳しく聞こえるかもしれませんが、現実としてそうです。どれだけ人柄が良くても、どれだけ事業所を気に入っていても、送迎要員が必要な募集で「運転はペーパーで自信がありません」と言えば、ほぼ不採用だと思った方がいいです。
僕も採用側にいた時、ここを軽くは見ませんでした。運転のミスは命に関わることもありますし、送迎が回らないと事業所全体の運営にも影響します。だからこの部分だけは、「慣れれば何とかなるだろう」で通すわけにはいきません。
送迎できないなら応募自体を見送った方がいい求人もある
どんなに条件が良くても、「要普通免許」と書かれていて自分は送迎できないと分かっているなら、その求人は諦めた方がいいです。面接で逆転しようと考えても、かなり難しいです。
無駄に傷つく必要はありませんし、受かる可能性が低い面接に時間を使うのももったいないです。送迎できないのに普通免許必須の求人を受けるのは、最初から合っていない職場に無理に入ろうとするのに近いです。
「尚可」の求人では、今できない人にもまだ余地がある
尚可と書かれている場合は、まだ話の余地があります。ここでは今できるかどうかだけでなく、どう伝えるかも大事になります。ただし、できないことを無理にできるように見せるのではなく、現実を正直に伝えた上で前向きさをどう出すかが重要です。
今は不慣れでも、将来的に挑戦したい場合の伝え方
たとえば、免許はあるけれど自宅に車がなく、運転する機会がほとんどない人はいます。その場合、「今はほぼペーパーですが、運転に慣れられる環境があるなら送迎にも挑戦したいです」と伝えるのはありです。
これは、今できないことを隠すのではなく、今後できるようになりたい意思を見せる答え方です。「できません」で終わるより、採用側には前向きに映りますし、必要以上に印象を下げずに済みます。
本当に運転が難しいなら、無理に強がらず正直に伝える
一方で、どうしても運転が怖い、責任を持てない、自分には無理だと思っているなら、その気持ちは正直に伝えた方がいいです。「迷惑をかけるわけにはいかないので、運転は控えさせていただきたい」と伝える方が、無理に取り繕うよりずっと誠実です。
送迎は利用者の命を預かる業務です。そこに自信のないまま入るのは危険ですし、採用側も本来そこを無理強いするべきではありません。正直に伝えた結果、不採用になることはありますが、それは仕方のないことです。
マイナスを抱える前提で、ほかの強みで補う必要がある
尚可の求人で送迎ができない場合、それだけで絶望というわけではありません。ただ、ほかの応募者と比べた時にマイナスポイントが一つあるのは事実です。だからこそ、介護経験、利用者対応、雰囲気、柔軟性など、ほかの部分でしっかりプラスを作る必要があります。
送迎ができないなら、その分だけ別の強みをきちんと見せる。ここはデイサービスの面接ではかなり大事です。何となく受けるのではなく、自分はどこで評価してもらうのかを意識しておいた方がいいです。
免許の記載がない求人で聞かれた時は「減点」より「加点」で考える
このパターンは、答え方の自由度が一番あります。募集時に免許のことが書かれていないなら、その職場は少なくとも送迎を絶対条件にはしていない可能性が高いです。だから「できない」と言っても、必要以上に恐れる必要はありません。
この質問が定番なのは、ひとまず確認しておきたいから
デイサービスでは、送迎ができる職員が多いほどシフトは組みやすくなります。そのため、必須ではなくても一応聞いておくという職場は多いです。特に介護職員が送迎をするスタイルのデイサービスでは、確認しておいて損がない質問だからです。
逆に、運転専門職がいる、外注している、介護職員が送迎に入らない職場では、この質問自体が出ないこともあります。だから面接で聞かれたということは、その職場では送迎が現場の業務とつながっていると考えた方がいいです。
「できない」は大きなマイナスにならなくても、「できる」は強いプラスになる
免許の記載がない求人なら、「送迎はできません」と答えても、それだけで大きな減点にはなりにくいです。ただし「できます」と言える人は、やはりプラスになります。採用側からすると、今後のシフトの幅が広がるからです。
つまりこの場合は、できないことを必要以上に恐れるより、できる人が評価されやすい場面だと考える方が近いです。だから自分が送迎できるなら、前向きにはっきり伝えた方がいいです。
断り方は正直さを保ちつつ、前向きさを残した方が印象はいい
もし今は自信がなく、送迎をしたくないのであれば、「今は運転する機会がなく不慣れなので送迎は難しいですが、今後運転に慣れられる環境があれば挑戦したいと思っています」といった伝え方が良いです。
これは多少テクニックに見えるかもしれませんが、嘘をつく話ではありません。現時点ではできない、でも気持ちまで閉じてはいない。このくらいの伝え方の方が、面接の印象としては柔らかくなります。少なくとも僕なら、「絶対無理です」と言い切られるより受け取りやすいです。
面接で一番やってはいけないのは、送迎する気がないのに「できます」と言うこと
この記事の中で一番強く伝えたいのはここです。送迎の質問に関してだけは、うまい答え方で乗り切ろうと考えない方がいいです。やる気がないのに「できます」と言うのは、本当に危ないです。
介護技術と違って、運転はその場でごまかせない
介護技術は、入職後に先輩について覚えていくことができます。もちろん簡単ではありませんが、横について教わりながら少しずつ上達していけます。しかし運転はそうはいきません。ハンドルを握るのは自分自身です。
だから、運転だけはごまかしが利きません。できないのに「できます」と言えば、後で必ず苦しくなります。現場で逃げ場がありませんし、本人も職場も困ることになります。
事故のリスクがある以上、採用側も無理には任せない
送迎で一番怖いのは事故です。単なる業務のミスでは済まないことがあります。だから採用側としても、本来は自信のない人に無理にやらせるべきではありません。少なくとも僕はそういうシフトは組みませんでした。
逆に言えば、正直に「難しい」と言ってくれた方が、採用側も判断しやすいです。そこで無理に強がられる方が困ります。本人のためにも、利用者のためにも、ここだけは誤魔化さない方がいいです。
嘘で入社すると入職後に一気に苦しくなる
面接を通るために「できます」と言って入社してしまえば、その場はうまくいくかもしれません。しかし入職後、送迎を任される段階で必ず問題になります。断れば「話が違う」となりますし、やれば事故のリスクがあります。
しかも職場の風当たりも強くなりやすいです。入社後に送迎しないで働き続けられる可能性がゼロではなくても、周囲の見方は厳しくなります。そうなれば長く働くのは難しいです。嘘で入社しても、結局早く辞めることになりやすいです。
それでもデイサービスで働きたいなら、面接前に考えるべきこと
ここまで読むと厳しく感じるかもしれませんが、送迎が不安でもデイサービスで働く道がすべてなくなるわけではありません。大事なのは、自分の現状を正しく見て、その上でどう動くかです。
運転が必要な職場を受けるなら、最低限の準備と覚悟が必要
どうしても入りたい職場が「要普通免許」なら、面接前に運転に慣れる努力は必要です。家族の車を借りる、知人の協力を得るなど、少なくとも今後運転できるようになる前提がなければ厳しいです。
ただ免許を持っているだけで面接に行くのではなく、これから本当に送迎を担う覚悟があるのか。そこまで含めて考えないといけません。少なくともそのくらいの準備がなければ、面接を受けても苦しいです。
送迎をしないデイサービスを探すという考え方
デイサービスの中にも、介護職員が送迎をしない職場はあります。運転専門の職員がいるところや、送迎体制が別になっているところです。そういう職場なら、送迎が苦手でも働ける可能性はあります。
デイサービスで働きたい気持ちが強いなら、面接のテクニックで何とかしようとするより、最初から自分に合う募集を探した方が現実的です。その方が入職後も無理がありません。
デイサービスにこだわらず、施設介護を視野に入れる選択もある
もし運転そのものがどうしても難しいなら、デイサービス以外の介護職を視野に入れるのも一つの方法です。施設介護であれば、少なくとも送迎が前提にならない職場は多いです。
デイサービスは良い仕事ですし、僕自身そこを否定したいわけではありません。ただ、送迎がどうしてもできない人にとっては、職場選びを間違えるとかなり苦しくなります。だから無理に合わせるのではなく、自分に合う形で介護の仕事を続けることも大事です。
デイサービス面接の「送迎できますか」という質問は、答え方のテクニックを競う質問ではありません。採用側が見ているのは、今その人を送迎要員として現実的に数えられるかどうかです。特に「要普通免許」の求人では、その意味を軽く見てはいけません。
ここだけは、ごまかしも嘘も通用しません。送迎できないなら、最初から応募を見送るべき求人もありますし、尚可や記載なしの求人なら正直さを保ちながら前向きに伝える余地があります。大事なのは、受かるために無理をすることではなく、入職後も無理なく働ける職場を選ぶことです。送迎の質問は、その相性を見極める大事な分かれ目だと思っておいた方がいいでしょう。