デイサービスの仕事の中で、特徴的なものの一つがレクリエーションです。介護施設というと、食事介助や入浴介助、排泄介助などを思い浮かべる人も多いと思いますが、デイサービスではそれだけではありません。
特にデイサービスは、入所施設に比べると比較的介護度が低い利用者も多く、「介護を受けるために行く場所」というより、「楽しいから通っている」という感覚を持っている利用者も少なくありません。その中でレクリエーションは、利用者にとってデイサービスに通う理由になるほど大きな役割を持っています。
ただ、レクリエーションと聞くと、単なる遊びの時間のように思われがちです。しかし実際の現場では、楽しみながら体を動かしたり、頭を使ったり、人と関わったりする意味のある活動として行われています。この記事では、デイサービスで行われるレクリエーションの種類や目的、現場で感じる難しさについて、介護現場での経験をもとに書いていきます。
デイサービスのレクリエーションは単なる遊びではない
デイサービスのレクリエーションは、利用者にただ楽しんでもらうだけの時間ではありません。もちろん「楽しい」と感じてもらうことはとても大切ですが、その裏側には、身体機能や認知機能の維持、心身のリフレッシュ、利用者同士の交流といった目的があります。
レクリエーションは「楽しさ」と「機能維持」を両立する活動
デイサービスにおけるレクリエーションは、楽しみながら心身機能の維持や向上につなげていく活動です。体を動かすレクリエーションであれば、腕や足を動かす機会になりますし、頭を使うレクリエーションであれば、認知機能への刺激にもなります。
ただ、機能訓練や体操だけでは、どうしても飽きてしまう利用者もいます。毎回同じような運動やリハビリだけでは、参加意欲が下がってしまうこともあります。高齢者であっても、楽しくなければ続かないという点は同じです。
そのため、レクリエーションには「楽しさ」が必要です。楽しみながら自然に体を動かす、自然に頭を使う、自然に人と関わる。その形にできるところが、デイサービスのレクリエーションの大きな意味だと思っています。
利用者にとってデイサービスに通う理由にもなる
レクリエーションは、利用者にとってデイサービスに通う楽しみにもなります。ゲームをクリアする達成感や、みんなで盛り上がる時間、人と関わることで得られる充実感は、デイサービスの大きな価値の一つです。
僕が現場で見てきた中でも、レクリエーションを楽しみに通っている利用者は多くいました。介護を受けるためだけではなく、「今日は何をするのか」「みんなと会えるのが楽しみ」という気持ちで来ている方もいます。
また、利用者同士が交流を持つことは、社会的なつながりを保つ意味でも大切です。高齢になると、家族以外との関わりが少なくなる方もいます。そうした中で、デイサービスで人と話し、一緒に笑い、同じ時間を過ごすことは、生活の質にも大きく関わってきます。
デイサービスで行われる主なレクリエーションの種類
デイサービスのレクリエーションには、さまざまな種類があります。体を動かすもの、頭を使うもの、手先を使うもの、歌や合唱、外出レクリエーションなど、目的や参加しやすい利用者の幅もそれぞれ違います。
体を動かすレクリエーション
体を動かすレクリエーションは、デイサービスでは定番になりやすい活動です。入所施設に比べると、デイサービスは比較的介護度が低い利用者も多いため、無理のない範囲で体を動かせる活動は取り入れやすいです。
代表的なものとしては、風船バレー、タオルを使った綱引き、ペットボトルを使ったボーリング、体操などがあります。道具をあまり使わないものでは、後出しジャンケンやグーチョキパー体操、お手玉、うちわを使ったゲームなどもあります。
特に普段あまり体を動かす機会がない利用者にとって、こうしたレクリエーションは貴重な運動の時間になります。普通の体操では気が進まない方でも、ゲーム形式になると自然に参加できることがあります。
頭を使うレクリエーション
頭を使うレクリエーションは、認知機能への刺激を目的とした活動として行われます。体を大きく動かす必要がないため、体力に不安がある利用者でも参加しやすいのが特徴です。
具体的には、クイズ、なぞなぞ、しりとり、ジェスチャーゲーム、パズルなどがあります。しりとりのような昔からある遊びでも、実際にやってみると意外と盛り上がります。言葉を考えたり、思い出したり、人の答えを聞いたりする中で、自然に頭を使うことができます。
難しいことを無理にやらせるのではなく、楽しみながら考える時間を作ることが大切です。本人が「勉強させられている」と感じるより、「楽しく参加していたら頭を使っていた」という形の方が、デイサービスのレクリエーションとしては続きやすいと感じます。
手先を使うレクリエーション
手先を使うレクリエーションも、デイサービスではよく行われます。塗り絵、大人の塗り絵、ちぎり絵、工作、簡単なおやつ作り、調理などが代表的です。
手先を使う活動は、日常生活にも近い部分があります。物をつかむ、塗る、貼る、混ぜる、盛り付けるといった動作は、生活の中でも使う動きです。そのため、単なる作業ではなく、生活に関わる機能を保つ意味もあります。
特に女性利用者が多いデイサービスでは、簡単なおやつ作りや調理のような活動が喜ばれることもあります。昔から家事をしてきた方にとっては、なじみのある活動でもあり、自然に参加しやすいレクリエーションになります。
歌・合唱・リズムに合わせた活動
歌や合唱も、デイサービスでは利用者に好まれやすい活動です。昔の歌や季節の歌を歌うと、自然と表情が明るくなる方もいます。歌詞を思い出しながら歌うことは、認知機能への刺激にもなります。
また、リズムに合わせて手を動かしたり、簡単な体操を組み合わせたりする活動もあります。大きな動きが難しい利用者でも、手拍子や小さな動きで参加できるため、身体的な負担を抑えながら楽しむことができます。
歌やリズムの活動は、身体機能だけでなく、気持ちの面にも働きかけやすいです。声を出す、人と一緒に歌う、昔を思い出すということが、利用者の気分転換にもつながります。
外出レクリエーション
外出レクリエーションも、デイサービスでは大きな意味があります。散歩、公園への外出、お花見、公民館のイベント参加など、事業所の外に出る活動です。
外出レクリエーションは、歩くことで足腰を使うだけではありません。外の空気に触れること、季節を感じること、普段と違う景色を見ること自体が、利用者にとって大きな刺激になります。
デイサービスでは送迎業務を介護職員が行う事業所も多く、小さな車や軽自動車で送迎していることもあります。そのため、近くの公園や公民館など、歩いて行くには少し離れた場所にも車で行きやすいという強みがあります。この点は、デイサービスならではの外出レクリエーションのしやすさだと思います。
現場で定番になるレクリエーションには理由がある
レクリエーションというと、新しいものを取り入れなければいけないと考えがちです。しかし現場で長く続くレクリエーションには、利用者が参加しやすく、職員も運営しやすい理由があります。
風船バレーは利用者が参加しやすく盛り上がりやすい
僕が働いていたデイサービスでは、風船バレーが定番のレクリエーションでした。一番人気と言ってもいいぐらい利用者に好評で、実際にかなり盛り上がる活動でした。
風船バレーの良いところは、利用者が椅子に座ったまま参加できることです。円になって座り、飛んできた風船を手で打ち返す形なので、車椅子の方でも無理なく参加しやすいです。
全員で輪になって行うため、一体感が生まれやすいです。利用者同士が自然に声をかけ合ったり、笑い合ったりする場面も多く、コミュニケーションにもつながります。単に体を動かすだけでなく、人との関わりが生まれやすいところも、風船バレーが定番になりやすい理由だと思います。
職員側から見ても業務効率が良い
風船バレーは、職員側から見ても非常に助かるレクリエーションでした。一人の職員が中心になって進行し、補助で数人が見守れば、比較的多くの利用者に対応できます。
デイサービスの現場では、レクリエーションの時間にも他の業務が残っています。連絡帳の記入、片付け、記録、送迎準備など、やらなければいけない仕事は多いです。全職員がレクリエーションに入ってしまうと、他の業務が進まなくなることもあります。
その点、風船バレーのように一つの活動で多くの利用者が参加できるレクリエーションは、現場として非常に助かります。利用者は楽しめて、職員も動きやすい。こうした両方の条件を満たしているものは、現場で定着しやすいです。
新しいレクリエーションが定着しにくい現実
僕が勤めていたデイサービスでは、レクリエーションのサブスク雑誌を取っていたこともありました。そこに載っている新しいレクリエーションを参考にして導入することもありましたが、一度きりで終わってしまうことも少なくありませんでした。
新しいレクリエーションは、準備に手間がかかることもありますし、ルールを説明するのに時間がかかることもあります。実際にやってみると、思ったほど盛り上がらなかったり、利用者によっては分かりにくかったりすることもあります。
その点、定番と言われるレクリエーションには、長く続いているだけの理由があります。分かりやすく、参加しやすく、盛り上がりやすい。職員も運営しやすい。定番だからマンネリと考えるのではなく、定番の中で少しずつ工夫していく方が、利用者にも職員にも安定しやすいと感じています。
現場で感じるレクリエーションの難しさ
レクリエーションは楽しい時間ですが、現場では安全管理も欠かせません。特に体を動かすレクリエーションでは、盛り上がるほど利用者の動きが大きくなり、事故につながることもあります。
盛り上がりすぎて転倒につながることもある
実際に僕が働いていたデイサービスでは、風船バレー中に利用者が椅子から滑り落ちて転倒してしまったことがありました。風船を打ち返そうとして大きく体を動かしすぎたことが原因でした。
その時は利用者本人も笑っていて、大きな事故にはなりませんでした。しかし、楽しそうに参加しているから大丈夫とは言い切れないのが、レクリエーションの難しいところです。
レクリエーションは、利用者が楽しんでくれるほど職員としてもうれしいものです。ただ、その楽しさの中で体の動きが大きくなりすぎたり、椅子から体がずれたりすることがあります。だからこそ、職員は場を盛り上げながらも、常に安全面を見ておく必要があります。
全員が同じように楽しめるとは限らない
デイサービスは比較的介護度が低い利用者が多いとはいえ、全員が同じ状態ではありません。身体能力や認知機能には大きな差があります。そこがレクリエーションの難しいところです。
難しいレクリエーションにすると、ついていけない利用者が出てしまいます。ルールが複雑だったり、体を大きく動かす必要があったりすると、参加しにくい方もいます。その一方で、あまりに簡単すぎると、比較的元気な利用者には物足りなく感じられることもあります。
レクリエーションに積極的ではない利用者もいます。無理に参加させようとすると、デイサービスそのものが嫌になってしまう可能性もあります。そのため、無理に引っ張り込むのではなく、その人に合った距離感で関わることが大切になります。
職員配置や業務負担もレクリエーションの難しさになる
レクリエーションは利用者の満足度に関わる大切な仕事ですが、職員側の負担もあります。内容によっては人手が必要になり、レクリエーション以外の業務が進まなくなることもあります。
個別対応やグループ分けは職員の手が必要になる
個別のレクリエーションやグループ分けを行うと、それぞれに職員を配置する必要があります。全員で一つの活動をする場合に比べて、どうしても人手が必要になります。
室内レクリエーションと外出レクリエーションを分けて行う場合も同じです。室内に残る利用者を見る職員、外出する利用者に同行する職員、それぞれに人が必要になります。そうなると、限られた職員数の中ではかなり負担が大きくなります。
利用者一人ひとりに合わせたい気持ちは大切です。ただ、現場では職員数にも限りがあります。理想だけでは回らないため、どの活動なら安全にできるか、どの活動なら業務と両立できるかを考える必要があります。
レクリエーション以外の業務が進まなくなることもある
デイサービスでは、レクリエーションの時間にも他の仕事が止まるわけではありません。連絡帳の記入、記録、片付け、送迎準備、利用者対応など、同時に進めなければいけない業務があります。
レクリエーションに職員が多く取られてしまうと、こうした業務が後ろにずれ込んでしまいます。結果として、職員の残業や負担につながることもあります。
また、新しいレクリエーションを考え続けることも、職員にとって負担になります。中には、家に帰ってからも「次は何をしようか」と考えてしまう職員もいると思います。利用者を楽しませたい気持ちは大切ですが、職員が疲れ切ってしまう形では長く続きません。
だからこそ、一つのレクリエーションで多くの利用者を見られる活動は、現場では非常に助かります。利用者が楽しめることと、職員が無理なく続けられることの両方を考える視点が必要です。
外出レクリエーションには室内レクとは違う魅力がある
外出レクリエーションは、室内レクリエーションとは違う価値があります。外の空気に触れ、普段と違う場所へ行くこと自体が、利用者にとって大きな楽しみになります。
外の空気に触れること自体が大きな刺激になる
公園への散歩、お花見、公民館のイベント参加など、外出レクリエーションには日常とは違う刺激があります。普段は自宅とデイサービスの往復だけになっている利用者にとって、外に出る時間はとても大きな意味があります。
中には、デイサービス以外ではほとんど外出しない利用者もいます。そのような方にとって、外出レクリエーションは生活の中で数少ない楽しみになることがあります。
外出は、足腰を使う機会にもなりますが、それだけではありません。外の景色を見る、季節を感じる、地域の人や場所に触れる。そうした体験が、心身のリフレッシュにつながります。
室内レクが苦手でも外出なら参加できる利用者がいる
室内のレクリエーションにはあまり参加したがらない利用者でも、外出レクリエーションなら前向きになることがあります。みんなでゲームをするのは苦手でも、散歩やお花見なら行きたいという方は実際にいました。
レクリエーションに参加したくない利用者への対応は、現場では難しい部分です。無理に参加させると、本人の気持ちが離れてしまうこともあります。その中で、外出レクリエーションは、参加意欲を引き出す一つの選択肢になります。
もちろん、外に出たくない利用者も一定数います。外出レクをすれば全員が喜ぶわけではありません。それでも、室内では見られない表情が見られることもあり、現場で見ていても価値の高い活動だと感じていました。
感染症などで外出が制限されると足腰の衰えを感じることもある
コロナウイルス感染症の流行時には、外出レクリエーションができなくなった時期がありました。感染症対策として仕方のないことではありますが、利用者の外出機会や歩く機会は大きく減りました。
実際にコロナが落ち着いて散歩を再開したとき、利用者の足腰の衰えを感じて驚いたことがあります。以前はもう少し歩けていた方が、思ったより疲れやすくなっていたり、足取りが弱くなっていたりしました。
この経験からも、外出レクリエーションは単なる気分転換ではないと感じました。歩く機会を作ること、外に出る機会を作ることは、利用者の生活機能にも関わってきます。外出できる環境があるのであれば、その機会は大切にした方がいいと思っています。
レクリエーションは事業所の特色と職員の関わり方が表れる仕事
デイサービスのレクリエーションは、事業所ごとの特色が出やすい部分です。同じ「レクリエーション」という名前でも、何を行うか、どのような雰囲気で進めるかによって、利用者の受け止め方は変わります。
また、内容が同じでも、職員の声かけや進め方によって、利用者の参加しやすさは大きく変わります。レクリエーションは、活動の内容だけでなく、事業所の考え方や職員の関わり方が表れる仕事でもあります。
レクリエーションの内容には事業所ごとの個性が出る
レクリエーションは、デイサービスの特色を表す活動でもあります。一般的な体操やゲームを中心にする事業所もあれば、カジノゲームのようなレクリエーションを取り入れている事業所もあります。
機能訓練特化型のデイサービスであれば、運動や機能訓練の要素が強いレクリエーションを行うこともあります。どのような活動を行うかを見ると、その事業所が何を大切にしているのかが見えてくることもあります。
利用者の中には、レクリエーションを楽しみにデイサービスへ通っている方も多くいます。そのため、レクリエーションの内容や雰囲気は、利用者の満足度にも関わります。デイサービスにとってレクリエーションは、単なる時間埋めではなく、事業所の強みになり得る部分です。
内容だけでなく職員の声かけや進め方で満足度が変わる
レクリエーションは、内容だけで決まるものではありません。同じ風船バレーでも、職員の声かけや盛り上げ方、利用者への誘い方によって反応は変わります。
無理に参加させようとするのではなく、自然に入りやすい声かけをする、参加できたことを一緒に喜ぶ、レクリエーションを進める職員の雰囲気は、利用者にも伝わります。職員自身が楽しみながら関わることで、場の空気が明るくなり、利用者の反応も変わっていきます。
楽しさがあるから機能維持や交流につながる
レクリエーションは、ただ楽しい時間を作ればよいというものではありません。本来は、身体機能や認知機能の維持、人との交流、生活意欲につなげる意味があります。
ただ、その目的だけを前に出しすぎると、利用者にとっては「やらされている活動」になってしまうことがあります。だからこそ、楽しいと思えることが大切です。楽しいから参加できる。参加するから体を動かし、頭を使い、人と関わる機会になります。
利用者が笑顔で参加してくれることは、職員にとっても大きなやりがいになります。自分の声かけで利用者が笑ってくれたり、普段あまり参加しない方が少しでも反応してくれたりすると、レクリエーションの意味を実感できる場面もあります。
デイサービスのレクリエーションは、単なる遊びでも、ただの時間埋めでもありません。利用者に楽しみを作りながら、心身の健康や人とのつながりを支える大切な仕事です。
