夜勤のある入所施設と比べると、デイサービスは日勤中心で働けるため、介護の仕事の中では比較的働きやすいイメージを持たれやすいと思います。
実際、夜勤がなく生活リズムを整えやすいことは、デイサービスで働く大きなメリットです。しかし、現場に入ると「思っていたより忙しい」「意外ときつい」と感じる人もいます。
デイサービスには、身体介助だけでなく、送迎やレクリエーション、記録、家族対応など特有の仕事があります。入所施設とは仕事内容が違うため、大変さの種類も同じではありません。
この記事では、介護職員、生活相談員、管理者としてデイサービスに関わってきた経験から、仕事がきついと言われる理由と、職場環境によって働きやすさが変わる理由を解説します。
デイサービスの仕事はなぜきついと言われるのか
デイサービスは日勤中心で働ける一方、利用者が来てから帰るまでの限られた時間の中で、一日のサービスを進める必要があります。夜勤はないですが、日中に多くの業務が集中する仕事です。
外から見た働きやすさだけでは分かりにくい部分があることが、「思っていた仕事と違った」と感じる理由の一つです。

夜勤がないことと仕事が楽なことは別
デイサービスは、入所施設のように24時間利用者の生活を支えるサービスではありません。基本的には朝から夕方までの勤務となり、夜勤がない職場が多くあります。
そのため、生活リズムを整えやすく、家庭との両立を考える人にも働きやすい面があります。ただし、それは勤務時間の特徴であって、日中の仕事量が少ないという意味ではありません。
利用者がいる時間は介助や見守りを優先しながら、一日の予定も進めていきます。夜勤がないというメリットだけで、仕事全体の大変さを判断することはできません。
時間が決まっているからこその忙しさがある
デイサービスでは、利用者が来所してから帰宅するまでの時間が決まっています。その中で必要なサービスを提供し、一日の流れを進めていかなければなりません。
ただし、介護は予定表どおりに進む仕事ではありません。体調が変化する人もいれば、予定していた介助を嫌がる人もいます。そのたびに目の前の利用者に合わせた対応が必要になります。
利用者を急がせるわけにはいかない一方で、次の予定もあります。この時間の使い方の難しさが、デイサービス特有の忙しさにつながっています。
デイサービスは介護だけをしていればいい仕事ではない
デイサービスの大変さを考えるとき、身体介助の量だけで判断すると、現場で感じる負担を見落としてしまいます。介護職員であっても、実際にはさまざまな業務に関わります。
一つの仕事だけを担当するのではなく、その日の状況に合わせて役割を切り替えることも多いのがデイサービスです。

身体介助が少なくても仕事が少ないとは限らない
デイサービスには、自分で歩ける人や比較的介護度の低い人も利用しています。そのため、入所施設と比べると身体的な負担が少ないように見えるかもしれません。
しかし、身体介助が少ない利用者にも、見守りや声かけ、誘導などの支援は必要です。利用者の状態を確認しながら、安全に一日を過ごせるよう職員は常に周囲を見ています。
介助量だけを比べれば軽く見えても、それだけで職員の仕事が少ないとは判断できません。
幅広い仕事の中に苦手な業務があると負担になりやすい
デイサービスでは、介助以外にも送迎、レクリエーション、記録、掃除、家族対応などがあります。小規模な事業所では、食事作りなどを職員が担当することもあります。
こうした仕事には得意不得意があります。利用者の介助は得意でも運転が苦手な人もいれば、人前に立つことや書類を書くことに負担を感じる人もいます。
幅広い仕事に関われることはデイサービスの特徴ですが、自分が苦手な業務を繰り返し担当する環境では、それが毎日の「きつい」につながります。
デイサービスで行う仕事の種類については、「デイサービスの仕事内容一覧」で解説しています

送迎業務は運転技術と家族対応の両方が求められる
送迎は、デイサービスの中でも負担を感じる人が多い仕事です。運転だけでなく乗降介助や時間管理、家族とのやり取りまで含まれるため、複数のことに気を配らなければなりません。

利用者を乗せる運転には責任がある
利用者を乗せて運転するときは、自分一人で車に乗るときとは違う緊張感があります。事故を起こさないことはもちろん、急な加速やブレーキにも注意が必要です。
乗り降りの際には転倒を防ぎ、車椅子を使用する場合には固定の確認も行います。運転中だけではなく、乗車する前から降車するまで安全への配慮が続きます。
普段から車を運転している人でも、高齢の利用者を乗せる送迎では責任の重さが変わります。
送迎業務の負担については、「デイサービスの送迎はきつい?」で解説しています

安全だけでなく時間と家族への対応も必要になる
送迎では、安全に走ればそれで終わりではありません。利用者ごとの迎え時間があり、その後のサービス開始時間にも間に合わせる必要があります。
道順や停車場所、乗降にかかる時間などを覚えながら、安全を優先して予定どおりに進めます。「急いではいけない。でも大きく遅れてもいけない」という難しさがあります。
また、自宅では家族と顔を合わせるため、体調について聞いたり相談を受けたりすることもあります。こうした家族対応などの負担が重なることが、送迎をきついと感じる理由になります。
デイサービスの家族対応については、「デイサービスの家族対応とは?」で解説しています

レクリエーションは苦手な人にとって大きな負担になる
レクリエーションも、デイサービスの仕事がきついと言われる理由の一つです。利用者が楽しみにしていることも多く、デイサービスらしさが出る仕事ですが、職員にとっては負担になる部分もあります。
特に苦手意識がある人にとっては、その負担を強く感じやすい仕事です。

内容を考え、準備する負担がある
レクリエーションでは、ゲームや体操、制作、季節行事など、その日に行う内容を考えます。内容によっては道具や制作物の準備も必要になり、実施する前からやることは少なくありません。
利用者対応に余裕がある職場なら勤務時間内に準備できますが、忙しい職場ではそこまで手が回らず、自宅に持ち帰ることもあります。企画や準備が苦手な人にとっては、こうした部分も負担になりやすいです。
人前で進行することがストレスになる人もいる
レクリエーションでは、利用者の前に立って説明したり、声を出して進行したりします。参加している人の反応を見ながら、場の雰囲気を作ることも必要です。
大勢の前で話すことに慣れていない人には、それだけでも緊張があります。反応が薄ければ、自分の進め方が悪いのではないかと気にする人もいます。
レクリエーションの負担については、「レクリエーションが苦手な理由」で解説しています

日中に終わらない仕事が残業につながる
デイサービスでは、利用者がいる時間は目の前の対応が優先されます。そのため、予定していた仕事を日中に進められず、後に残ることがあります。
日勤中心だから必ず定時で帰れるというわけではなく、人員体制や仕事の進め方などの職場環境によっては、勤務後の残業につながることがあります。

利用者対応が優先になり予定どおりに進まない
現場では、トイレ対応が重なったり、体調の変化があったり、予定していた介助に時間がかかったりすることがあります。その場合は当然、利用者への対応を優先します。
目の前の利用者への対応を後回しにして、予定していた書類や準備を進めることはできません。その結果、本来なら日中に終わらせたかった仕事が後ろにずれていきます。
一日の時間が決まっているデイサービスでは、こうした予定変更がその後の業務にも影響します。
後回しになった仕事が勤務後に残る
利用者が帰宅したあとにも、記録、掃除、片付け、翌日の準備などがあります。日中に進められなかった仕事まで重なると、勤務時間内に終わらず残業につながることもあります。
このように、勤務時間を過ぎても仕事が終わらず、残業する日が続けば疲れもたまりやすくなります。こうした状態が続くことも、デイサービスの仕事をきついと感じる原因の一つです。
デイサービスの残業については、「デイサービスの残業は本当に少ない?」で詳しく解説しています

介護度や設備によって身体的な負担は大きく変わる
デイサービスは介護度の低い利用者だけが通う場所ではありません。実際には、移動や入浴などで多くの介助を必要とする人も利用しています。
さらに、同じ状態の利用者を介助する場合でも、事業所の広さや設備によって職員の身体的な負担は変わります。

デイサービスにも介護度の高い利用者はいる
僕が働いていたデイサービスにも、目が見えず、移動は車椅子で、ほぼ寝たきりに近い状態の利用者がいました。その方もデイサービスを利用し、必要に応じて入浴などの支援を行っていました。
デイサービスでは、入所施設より平均的に介護度が低く見えても、すべての利用者の介助が軽いわけではありません。利用者によっては移乗や入浴で大きな身体的負担がかかります。
「デイサービスなら身体介助は楽だろう」と考えていると、実際の現場との違いを感じる可能性があります。
設備が十分でないと介助の負担が大きくなる
入所施設では、介護度の高い利用者を想定した設備が整っていることがあります。一方、小規模デイサービスや民家を活用した事業所では、一般家庭に近い環境で介助を行うこともあります。
車椅子を動かせるスペースが狭かったり、介護用の浴室設備が十分でなかったりすれば、職員が身体を使って支える場面も増えます。
こうした環境での介助が続けば、職員の身体にかかる負担も大きくなります。利用者の介護度だけでは見えない部分でも、デイサービスの仕事をきついと感じることがあります。
仕事量に対して給料が低いと感じることもある
デイサービスのきつさには、仕事量や責任に対して給与が低いと感じることも関係します。仕事内容そのものが嫌いでなくても、負担と収入のバランスに納得できなければ不満は大きくなります。
特に夜勤手当がないデイサービスでは、夜勤のある入所施設と比べたときに収入面の差を感じることがあります。

夜勤がないことは収入面では不利になることもある
夜勤がないことは、生活リズムを整えるうえでは大きなメリットです。一方で、夜勤手当を受けられないため、夜勤のある介護施設より給与が低くなる場合があります。
働き方として日勤を選びたい人にとっては納得できる部分でもありますが、生活費や家庭の状況によっては収入面を負担に感じる人もいます。
僕が働いていたデイサービスでも、副業や夜勤のアルバイトを掛け持ちしながら働いている職員がいました。
負担と給与のバランスに納得できるかも大切
現場で責任を持って働いていると、「これだけやってこの給料か」と感じることがあります。これは、仕事に意味を感じていないという話とは別です。
同じ仕事内容でも、給与や待遇に納得して働いている人と、負担に見合っていないと感じている人では、仕事のきつさの感じ方も変わります。
給与が低くなりやすい理由については、「デイサービスの給料は本当に安い?」で解説しています

デイサービスの働きやすさは職場環境で変わる
デイサービスの仕事には、確かにきつい部分があります。送迎やレクリエーション、残業、身体的な介助、収入面の不満。どれも現場で働くうえで無視できません。
ただし、きつい仕事だから続けられないとは限りません。同じデイサービスで働いていても、負担の感じ方や働きやすさは職場によって変わります。

同じ仕事内容でも負担の大きさは職場によって違う
送迎を特定の職員に偏らせるのか、複数の職員で分担するのか。レクリエーションの準備を一人に任せるのか、職員同士で協力するのかによっても、負担の大きさは変わります。
記録や翌日の準備を勤務時間内に進められる人員体制があるか、困ったときにほかの職員へ相談できるかも重要です。同じデイサービスでも、仕事の分担や現場の回し方によって働きやすさは変わります。
デイサービスが合わないのではなく今の職場が合っていない場合もある
送迎がきつい、レクリエーションが苦手、残業が多くてつらい。そうした負担が続けば、「自分にはデイサービスが向いていないのかもしれない」と感じることもあると思います。
ただ、同じ仕事内容でも職場によって働きやすさが違うのであれば、デイサービスそのものが合わないとは限りません。今の職場の人員体制や業務の分担が、自分に合っていない可能性もあります。
デイサービスの仕事自体は嫌いではないのに、今の働き方だけがつらいのであれば、仕事そのものを諦める前に、今いる職場を見直してみるという選択肢もあります。


